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2015/03/21
大泉りかの秘告白部屋 ~女の闇は深く、生暖かい~
女の闇は深く、生暖かい――官能小説や女性向けポルノノベルで活躍中の人気作家・大泉りかが、知られざる“女の闇の真実”を解き明かす! 働いて、好きなことをして、充実した生活を送る。これらは、ごくシンプルで当たり前のことのように思えます。しかし、その『慎ましい望み』が『欲望』となると、途端に強い執着と依存とを生み出してしまうことも…。大泉りかの秘告白部屋、OPEN!
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母から「ヒモ製造器」と呼ばれる38歳の女

「大人になる」ということは、「自立する」ということでもあります。しかし、誰もが成人すれば、「大人になる」=「自立」できるわけではありません。経済的、精神的ともに自立をするには、仕事と意思が必要不可欠ですが、「がんばらなくていいんだよ」という優しいメッセージが氾濫するこの世の中に於いては、自立することに対する決意がなかなか持ちにくく、また、例え自立したくても、経済的な問題が、自立の妨げになることもあります。今回登場いただくのは、とある事情がキッカケで、ティーンエイジャーの頃に家出を試みたことが自立の第一歩となったという女性です。

【15歳で家出し、父や兄とは絶縁状態のI子さん(38歳・フリーライター)】

I子:うち、とにかく家族全員がクズなんですよ。父は競馬狂だし、祖母はそんな父親に甘々でべったり。兄に至っては、わたし、性的暴行をされそうになって(笑)。いや、笑いごとじゃないんですけど、そんな家にいられないじゃないですか。で、15歳で家出して、しばらくは、人様にあんまり言えないことをして暮らしていたんです。けど、結局、保護されて。そのタイミングで母親と一緒に家を出てふたり暮らしをしていたんですが、この母親もなかなか強烈な人で。

――どう強烈なんですか?

I子:とにかく口が悪くて、ギャングスタラップみたいな人なんですよ。「アンタはね、ヒモ製造器だから」とか言われたことがある。父親と夫婦喧嘩してた時も「この種馬ヤロウ」とか。とにかく、そういう言葉がスラスラと出てくるんです。

――センスありますね、そういうババア、わたしは好きですけど(笑)。

I子:そう、実はその語彙が多いところは、わたしにもばっちり受け継がれてまして、仕事では非常に役立っているんですが(苦笑)。実家は2DKなんだけど、その間が襖で遮られてるんですよね。で、若い頃は、男を連れ込んでセックスしたりするわけなんだけど、ドッタンバッタンしてるから、隣室にいる母もわかってるわけなんですよね。で、襖越しに「うるせー」とか叫んでくる。そんな感じの人で、プライドが高いというか負けん気がとにかく強い。そんな母と、一緒にいると、やっぱりぶつかることも多くって、高校を卒業してすぐにひとり暮らしを始めたんです。

父親とは10年以上、兄とは15歳で家出して以来、一度も会ってない

――東京の人の割には、自立するのが早いですね。

I子:母も都内に住んでるんで、一緒に住んだほうが金銭的には互いに楽になるってわかってるけど、でも、やっぱりそれはできないなって。わたしが実家に帰ると、おそらく母は、おんぶに抱っこで甘えるのがわかってる。だから、帰れませんね。そういうのって、お互いによくないじゃないですか。

けどね、家族サービスもするんですよ。こないだも実家に帰省したら「ハワイに行きたい」って言われて、で、「そんなところに連れていく金も時間もない。他になんかないのか」って聞いたら「千葉のほうにあるドイツ村に行きたい」って。で、行ってきましたよ。

――でも、そういう距離感がちょうどいいですよね。ひとり暮らしさせることで母親を自立させている、と。他のご家族とは?

I子:父親とはもう10年以上、兄に至っては、15歳で家出して以来、一度も会ってませんねぇ。

同棲相手が無職でも気にしない

――まぁ、そりゃ、そうですよね……ところで、「ヒモ製造器」っていうのは本当なんですか?

I子:まぁ、ある意味では当たってるけど、でも、ヒモってヒモではないですよ。「クロムハーツ買って」とかそういうんじゃない。モノをあげるとかではなく、無職でも気にしないっていうくらいの感じで。相手に対して、「きちんとお仕事して」とか「正社員になって」とか思ったことがないんです。でも、母親にしてみれば、働いていない男はイコール「ヒモ」ってことらしくって。

――おそらくお母様がおっしゃってるのは、結婚なり、同棲なりがあって、そこで、きちんと「男としての義務を果たせ」的な。でも、相手の分の家賃を負担する、とかなるとまた違う話だけど、そうじゃないのなら、別に相手が無職であっても、全然関係ないってのはありますよね。

I子:そう。なおかつ、一緒に暮らしてたとしても、別に無職でもいい。そりゃ、相手の分の家賃を負担はイヤですよ。でも、「家賃分だけ稼ぐために3日だけ日雇いで働いてくるわ」とかでも全然いいじゃないですか。それが、その人のスタイルなんだし。

――I子さんがおっしゃっているのは、『自分の分の家賃負担』という責任を全うしてくれさえすればいいってことですね。

I子:そうそう。例えば超ニートで、でも実家が金持ちで、で、そこからお金は持ってきてくれるとかでも全然いいですよ。わたしは何も困りませんから。

――まぁ、たしかに、困りませんよね。

I子:そうなんですよ。わたし、他人になにも求めないんです。全部、自分ありき。だから、稼がない、働かない、というのも、こちらに迷惑さえかけなければいい。反対に、わたしの仕事なんかの邪魔をされるのは、絶対に無理。

相手に合わせる努力とか、一切しない

――なんというか、I子さんを漢字で表すと“個”ですね。

I子:そう。相手や世間に対して媚びたり、コミットする必要なんてなにもなくて、ひたすら自分の思うことだけしてるのがいいと思ってるんです。恋愛だって、そうやって好き放題やってると、勝手に人が好きになってくれる。だから、「あの人を振り向かせるため」って何かをするのとか、全然わからないんですよね。相手に合わせる努力とか、一切しないです。追っかけても仕方がないし、別に自分を好きになった人と付き合えばいい……こう語ってると、わたしって本当につまんない女なんですよね。唯一の趣味だって、ジム通いなんですよ。ひとりで延々と筋トレをするっていう……つまんないでしょ?(笑)

未遂に終わったとはいえ、不幸な事件をきっかけに、「クズ」な家庭から独立することになったI子さん。「他人になにも求めない」というスタンスを得ることは、生きやすさを獲得するひとつの方法かもしれません。

大泉りか

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