大泉りかの秘告白部屋 ~女の闇は深く、生暖かい~
女の闇は深く、生暖かい――官能小説や女性向けポルノノベルで活躍中の人気作家・大泉りかが、知られざる“女の闇の真実”を解き明かす! 働いて、好きなことをして、充実した生活を送る。これらは、ごくシンプルで当たり前のことのように思えます。しかし、その『慎ましい望み』が『欲望』となると、途端に強い執着と依存とを生み出してしまうことも…。大泉りかの秘告白部屋、OPEN!
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20年乙女ゲームにハマった34歳女の闇

誰しも一度は「結婚をするなら、愛している人よりも、愛してくれる人を選んだほうが幸せになる」というフレーズを、聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、草食男子や中年童貞など、恋愛やセックスから距離を置いた男性の存在が少なからずクローズアップされる現在、「女性を愛する」という強い気持ちを持った男性が、減少していることもまた確かです。そこで“愛されたい”という女性たちの欲望を叶えるべく存在するのが『乙女ゲー』。今回登場いただくのは、乙女ゲームにおおよそ20年間、ハマりっぱなしという女性です。

【20年間、乙女ゲームにハマりっぱなしのF子さん(34歳・事務)】

F子さんは都内で事務職に従事する34歳の未婚女性。『乙女ゲー』という趣味から想像していた、いわゆるオタク風のルックスではなく、どちらかといえば、華やかな雰囲気を持つ、すらりとした長身の女性です。そんなF子さんが『乙女ゲー』にハマる理由とは?

――乙女ゲームって基本は、複数の男性が自分を口説いてくれて、それで、モテる気持ちが味わえるっていうものなんですか?

F子:そう。サウンドノベル形式もあれば、戦闘が基本のバトルゲームもあるし、シミュレーションっぽいのもある。でも、基本的には複数の男の人の中から、ひとり決めて、その彼を落とすっていうものですね。

――ゲームの中の男子のどこがいいんですか?

F子:なにが一番いいかというと、例えば、すっぴんでも、髪がボサボサでも、寝起きでも、いつでも電源を入れると「好き」って言ってくれることですね。自分がどうしようもない格好をしていても、いつでもデートに行けるんですよ。化粧をしてなくても、「可愛い」って言ってくれるし。

――それは手軽ですね。そもそもハマったきっかけは?

F子:最初にゲームを始めたのは13歳くらいの頃。『クロックタワー』っていうホラーのアドベンチャーゲームをやったりしていたんですが、当時、わたし、女子校に通ってて、みんな、異性との交流がそんなになかったんです。で、誰か同級生のひとりが乙女ゲームを持ってきた。そこからハマったわけです。恋愛したい盛りだったんで。

現実の彼にはない優しさを、ゲームの彼で補う

――好きなストーリーとかってあるんですか。

F子:うーん、むしろ今は、学園モノは無理ですね。わたし、もう30歳超えてるんで、生徒になったところでなんの感情移入もできない。会社が舞台なのもあんまりときめかない。むしろ、まったく違う世界が舞台のものが好きです。時代物で、信長と恋に落ちるような。学園モノって、勉強しないといけなかったりするんですよね。国語のカリキュラムを組むと、国語のキャラが現れたり、数学のカリキュラムを組むと、数学のキャラが現れたり。1日のスケジュールを立てないといけない。でも、それが面倒だからしたくない。

――それって、実際に国語的なクイズが出たりして、知識が身に付いたりとかそういう……?

F子:いや、違います。1日のスケジュールを決めるだけ。でも、決めないと、ただ恋愛もなく卒業だけすることになっちゃう。バッドエンドですね。けど、学生じゃないんだから、そんなことはしたくない。苦痛なんです。

――これって、現実の恋愛に影響とかあります?

F子:まず、彼氏の前ではできないですよね。ドン引きされちゃいますから。ゲームの中では「F子姫」と呼ばれたりしているわけで。

――姫(笑)。

F子:呼び方に関しては、ゲームが進むにつれて変化していったりするんですけどね。最初は「さん」付けだったのが、途中で呼び捨てになったりして。でも、現実の恋愛と並行すると、いい部分もあるんですよ。リアの人って、そこまで優しくないじゃないですか。けどゲームの男性は本当に優しいから、優しさがそっちで補える。

――リアの彼に関する不満を、ゲームの彼で解消するわけですね。

F子:そう。まぁ、ゲームの彼は決められたことしか言わないんですが(苦笑)。でも、それでも満足なんです。ただ、アニメ好きの人とかも、そうだと思うんですが、リアの人間がいらなくなっちゃう部分もあって……。だって、絶対的にゲームの彼の愛情のほうが濃いですから。

トキメキだけで満足できちゃう。セックスはなくてもいい……

――どういう愛情を示してくれるんですか?

F子:とにかく守ってくれる。戦闘モノのゲームの場合は、最初は攻撃を受けると「チッ、面倒くせえな」とか言われるんですが、それが仲良くなると「お前はいつも俺の背中だけ見てればいい」とか。そんなのキュンってならざるを得ないじゃないですか。

あと、ちょっと前に一番ハマったのは、『アムネシア』ってゲームだったんですが、男性キャラが、わたしのことを好きすぎて、監禁したりするんです(笑)。働かなくてもいいし、料理も作らなくていい。ただお前の仕事はそこにいてくれるだけだって……存在が仕事なんて言われたことがないし、言われてみたい。そこまで愛されたことって今までないですよ!

――現実との折り合いは?

F子:うーん、例えば、執事が出てくるゲームをするじゃないですか。それを24時間とかやっていると、現実で嫌なことや問題があっても「わたしには執事がいるから大丈夫」ってなったりはしますね。ごっちゃになってきちゃうっていうか。でも、折り合いは自分で付けるしかないですよ。現実にはそんな人はいない。リアの男性は、気も利かないし、優しくもないって。

――そこはまぁ、仕方ないですよね。

F子:そう。ただ、不思議なことに、エッチなことへの興味が、どんどん減っていくんですよ。むしろ、触れられなくても「ポンポン」って言葉だけで満足できるようになっちゃうんです。流行の壁ドンだってそう。「ドン」している絵を見ると、やられた気分になるし、「ぎゅっ」って言葉だけで事足りる。トキメキだけで満足できちゃう。セックスはなくてもいい……って、これだけは自分で気を付けて、現実からあんまり離れないようにコントロールしないと、本当にリアの恋愛ができなくなっちゃいますよね(苦笑)。

実は婚活中だというF子さん。電源を入れれば、いつでも会うことのできる「一番愛してくれる彼」から愛情を補給しつつも、リアルな恋愛の相手を探しているそうです。もしも相手が見つかった時に、その彼はF子さんを「一番愛してくれる相手」になり得るのでしょうか――。

大泉りか

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