卒業、転勤、異動、転職……新年度を前に、環境が大きく変わる人も少なくない。しかし、自分は変わらずとも周囲の変化によって歯車が狂い出すこともある。

ジャニーズのアイドルグループ・NEWS。2003年の結成当初は9人構成だったが、メンバーの脱退、活動休止が続き、2011年には、デビュー以来センターに立ち続けた山下智久がソロ活動、錦戸亮は関ジャニ∞の活動に専念することが決まりグループを卒業。

最終的に小山慶一郎、加藤シゲアキ、増田貴久、手越祐也の4人が残った。そして、ここからが本当の戦いだった。

グループ存続の危機……想像以上に過酷な現実

今年1月放送の『櫻井有吉アブナイ夜会』(TBS系)に、NEWSの小山慶一郎と加藤シゲアキが出演し、当時の様子を赤裸々に語った。

活動休止期間はラジオで「NEWS」と名乗ることを禁じられ、そして「4人では無理」とグループが存続の危機にあったことを明かした。これも演出の一部と疑う人もいるかもしれないが、そんな “お涙ちょうだい”の物語ではない証拠が、DVD『NEWS LIVE TOUR2012 〜美しい恋にするよ〜』だ。

約2年ぶりの新曲と念願のコンサートツアーだったが、楽しいだけでは終われなかった。公演中の挨拶で加藤は「正直もうダメだと思いました」と、過酷な状況を涙ながらに伝えた。

「気づけば、自分最後のライブはもう終わってたんじゃないかなって……」

引き際を選択する権利すら与えられない恐怖を語った。言葉を詰まらせた増田貴久も、山下、錦戸のパートを引き継ぐプレッシャーを打ち明けた。

居場所がなくなる恐怖、どん底アイドルの奮闘

新曲はおろかグループ存続の危機。居場所を失う不安と恐怖。昔は当たり前だった東京ドームが叶わない……。目をそらしたくなる現実をいくつも突きつけられた。

再スタートは秩父宮ラグビー場の野外公演。ペンライトの灯りをバックに、リーダーの小山は涙をためて語った。

「NEWSやっていっていいのか考えました。でもNEWSが好きなんで、どうしても残したくて、いろんなスタッフさんに話をしに行きました。『もう辞めろ』って言う人もいた、『4人でもできる』って言ってくれる人もいました」

周囲もこの状況で無責任なことは言えない。そんな中ファンの声が原動力となり、「信じていれば叶う」と力強く語った小山。手越は「僕は山下くんのことも亮くんのことも敵だとは思ってないし。でも俺らはNEWSとして負けるつもりはない」と語った。最年少だが、手越の言葉はひときわ強かった。

『アブナイ夜会』で加藤は、当時の心境を「苺のないショートケーキって言われたけど、スポンジケーキもうまいから。最高のスポンジケーキになってやろう、最高の生クリームになってやろう」と語った。

個人の活躍、帰ってきたグループでの東京ドーム

彼らの覚悟が、少しずつ状況を変えていった。小山は夕方の報道番組のキャスターに、手越祐也はバラエティ番組、増田は朝の情報番組に出演。加藤は小説を書き続け、年に1冊のペースで出版した。全員がソロ活動に力を注いだ。2013年夏のツアー中に、結成10周年のイベントを1日だけ東京ドームで行うことを発表。当日はドーム史上最多となる6万5,000人を動員した。

今年2月には6枚目のアルバム『White』をリリース。3月21日の名古屋を皮切りにツアーがスタートする。ラストは「また絶対に帰ってくる」と誓った、6月の東京ドーム2daysだ。

前を向いて進んでいたはずが、気がつけばどん底にいたアイドル。存続の危機から東京ドームにたどり着いたNEWSの底力は凄まじい。

2013年のアルバム『NEWS』の収録曲「フルスイング」には“何度だって 賽を振れ”という歌詞がある。これは彼らだからこそ、歌えるのだ。

柚月裕実

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