川崎貴子さん

時代の変化に伴い、女性の生き方や働き方が多様化した昨今。前編では、仕事とどう向き合えば自分らしい幸せを手に入れられるのか、株式会社ジョヤンテ代表取締役・川崎貴子さんにお話を伺いました。後編では、自分らしく過ごすためのロールモデルの選び方やパートナーの見つけ方について語っていただきました。

>>【前編はこちら】「上司から抜擢されるかも」なんて甘い期待は捨てなさい―川崎貴子さんが語る、現代女性に足りない意思表示

「誘う女=軽い女」ではない。いちいち傷ついてはダメ

――近年はよく「ロールモデル不在」と言われます。でも、自分の中に「目指すべき憧れの先輩」が欲しい……そう思う女性はどうすればよいのでしょうか。

川崎貴子さん(以下、川崎):必ずしも「ロールモデル=ひとりの人」に決めなくていいと思います。生き方や働き方が多様化している時代ですから、パッチワークのように「この人の●●が素敵」「あの人の●●を見習いたい」と、いいなと感じる人の一部ずつを、すこしずつ摘んでロールモデルを描いてみるのがいいと思います。

――川崎さんご自身はどのようにロールモデルを選ばれてきましたか。

川崎:私は第一子を出産するときに悩みました。三歳児神話などいろいろな情報が入ってきて、どうしようもなく不安になったとき、先に出産を経験した女性経営者に話を聞いたんです。彼女から、自宅を近くにして通勤時間を極力減らし、何かあればすぐに自宅に戻れる状況を作っておけば大丈夫だと聞いて、気持ちが楽になったのを覚えています。仕事面でもプライベート面でも素敵だなと感じる女性が何人もいて、彼女たちの一部分ずつをロールモデルにしてきました。

――それと同様に「川崎さんの一部分」をロールモデルにしている女性は多いはずです。そんな方たちから恋愛相談が寄せられているのだと思いますが、彼女たちを見ていて何が「足りないな」と感じますか。

川崎:人にどう思われるかではなく、自分はどうしたいのか考える姿勢でしょうか。世の中は常に変化しています。昔は25歳くらいになれば、お見合いおばさんがアテンドしてくれたり、男性がプロポーズしてくれたりする時代でした。今はそんなシチュエーションがほぼ皆無にも関わらず、女性から「結婚したい」と言うなんて無理だとか、男性から誘われないと自分に価値が見出せないとか、そんなことを言っている場合じゃないんです。

――確かに。「女性は受け身であるべし」という思想は根づいていると思います……。

川崎:気に入った人がいれば食事に誘ってみて、しっくりこなければ二度と会わなくていいんです。「会いたい人を誘う=軽い女」ではありません。自分主導でやることに対して、いちいち傷ついてはダメ。前編でも話しましたが、やはり「自分マター」でパートナーや付き合いたい友人、時間の過ごし方を選び取っていくべきです。

再婚相手に選んだのは「ムダなプライドを持たない男性」

――ちなみに川崎さんご自身は、現在の旦那さま(注:8歳年下のダンサー)のどんなところに惹かれて、パートナーになられたのですか。

川崎:女性社長に対して、張り合おうとしてくる男性って多いんです。昔、合コンで「上場考えてないの?」「年商はどれくらい?」と何度聞かれたことか。今日、合コンのはずなんだけど……みたいな(笑)。一方、夫は「頑張って働いていてスゴいねぇ」とニコニコ微笑むだけ。「あぁ、癒やされる!」と思いました。

――変なライバル意識を持たないで接してくれる、これまで周りにいた男性とは違うタイプの方だったんですね。

川崎:夫は掃除も料理も上手で、家庭のことをいろいろしてくれて、母性が強い男性なんです。彼のお母さんはキャリア志向の女性、お父さんは芸術家で、途中から家庭のことはお父さんが担当していたそう。彼はそんな両親を見て育ってきたので、8歳年上の妻のほうが稼ぎが多くて、家庭内で決定権を持っていることに対して、何の違和感もプライドも持っていなかったんです。それも再婚の決め手になりました。

――「結婚相手は異業者の方がいい」という声も聞いたことがあります。

川崎:今の夫に株主総会のことを理解してもらおうと説明していたら、「株式会社とは」みたいな話から始まって、1時間かかりました(笑)。一方、私は私で、彼が専門としているダンスやアートの世界には通じていません。お互いに知らない分野だからこそ、尊敬し合えるのだと思います。同じ職業同士だと共通言語がありますし、仕事のことを理解し合えるよさはありますが、ぶつかることも少なくありません。

長く手放さずにいたキャリアは「愛する人を守る武器」に変わる

川崎貴子さん

――よく女性から「稼ぎのいい旦那さんと結婚したい」と聞きます。高収入な男性と結婚すると、自分のレベルまで上がった錯覚があるのかもしれませんが、これについてはどう思いますか。

川崎:それを逆の立場に置き換えて考えるとどうでしょう。自分がテレビに出演しているような有名な女性だったとします。「相手が著名人だから」と狙って近寄ってくる男性を見て、どう思いますか。また、周りから見ると、その男性はどう思われるでしょうか。

――「私の資産狙いだな」と思ってしまいますし、客観的に見ても「意地汚いな」と思いますね。

川崎:ですよね。そんな人生嫌じゃないですか。相手に依存するより、自分が何者かになったほうが絶対にいいです。それは有名人になればいい、という意味ではありません。自分の思うままにキャリアを築いて、自分で自分を食べさせられること、を指しています。長く手放さずにいたキャリアは「愛する人を守る武器」に変わります。急に夫や子ども、両親など大切な人が悪い状況になったとき、働いて助けられるわけですから。

年収何千万円も稼ぐようなエリートサラリーマンが、うつ病になったり、リストラされたりする例をこれまでたくさん見てきました。高収入の男性と結婚する=自分自身の底上げにはなりません。「あの人、上手いことやったわね」と思われるだけ。夫婦という単位が自立して存在することで、セーフティーネットになれる時代だと思います。

――最後に、川崎さんが自分らしく生きるために、心がけていることを教えてください。

川崎:私はふたりの娘の母親でもあるので、彼女たちに背中を見られているな、とは常に意識しています。仕事でもブログを書くときでも「娘たちに対してもこう言うだろうか?」というのが価値判断基準。また、欲求をひとつひとつ自覚して、それに対して誠実かつ真摯に、理念をぶらすことなく向き合うことも大切にしています。「しない言い訳」をして終わる人生は面白くないですから。「私だけの生き様」とは何かを意識して、今後もハードに生きていきたいと思います(笑)。

※編集協力/プレスラボ

●川崎貴子 株式会社ジョヤンテ代表取締役。1997年に女性に特化した人材コンサルティング会社として設立後、1万人を超える女性をフォローしてきた。著書に『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)がある。ブログ「酒と泪と女と女」を連載中。2人の娘と8歳年下のダンサーの夫と暮らすワーキングマザーでもある。

池田 園子

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