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2015/02/25

横浜の専業主婦の9割が「仕事がない」

政府は「成長戦略」の柱として、「女性の活躍推進」をうたっています。主婦の再就職支援セミナーの実施や、「正社員実現加速プロジェクト」の推進、2017年度末までに保育の受け皿を約40万人分確保するなど、多くの取り組みが行われているようです。一方で、2013年に「待機児童ゼロ」を実現した横浜市では、働いていない女性の9割が「働きたい」と希望しているという調査結果が明らかになりました。

専業主婦の9割が「働きたいとは思っている」

調査は横浜市が、市内の満20歳以上49歳以下の女性3,000人を対象に実施(参照:横浜市「平成26年度女性の就業ニーズ調査」)。有効回答数は932人で、そのうち「現在、収入を伴う仕事をしていない」人は244人でした。このうち、かつて働いていた人は95.5%と、在学中(4.5%)の人を除き、全員が「過去に就業経験あり」でした。仕事をやめた時期は、「1人目、または2人目の妊娠・出産・育児」が46.8%と半数を占め、次いで「結婚」が27%。両者を合わせると、7割以上の女性が「結婚・妊娠・出産・育児」によって退職しています。その理由を3つまで答えてもらったところ、「家事・育児・介護に専念したかったから」(51.9%)が半数を超え、最多となりました。働き続けたいけれど、やむなく家庭に入ったという女性は、それほど多くないようです。

今後の就業意向を聞いたところ、「今すぐにではないが、いずれは仕事に就きたい」(51.6%)が最も多く、次に「現在抱えている不安や問題が解決されれば、仕事に就きたい」(31.1%)、「すぐにでも仕事に就きたい・求職中」(9.8%)の順でした。就業意向のある女性が約9割にのぼる一方、最も多いのは「今すぐ働かなくてもいい」という答えです。

所得の高い横浜では「今すぐ働かなくても大丈夫」?

横浜市は全国平均よりも、30歳以降の女性の労働力率が低く、結婚・出産・育児を機に離職する女性の割合が多い上に、再就職率も低いのが特徴です。これは、「専業主婦を続ける女性が多い」と言い換えてもいいでしょう。横浜市の1人あたりの所得は292万円で、全国平均を20万 5,000円上回っています。首都圏のベッドタウンであり、夫の収入が比較的高いために、「今すぐは働かなくても大丈夫」という女性も多いのでしょう。調査では、今後、働きたいという女性に対し、「再就職する場合に希望する働き方」を尋ねていますが、1位は「パート・ アルバイト」(50.9%)で、2位の「正規の社員・職員で短時間勤務」(15.9%)を大きく上回りました。

一方で、「現在抱えている不安や問題が解決されれば、仕事に就きたい」と答えた人のうち、再就職する上での不安として最も多かったのは「自分の体力・健康」(47.4%)、次いで「希望する職種や仕事内容、処遇の会社が見つかるか」(42.1%)、「離職期間が長いこと」(36.8%)となっています。働いてみたいけれど、体力がもつか心配、希望に合う働き方ができるか不安……そんな女性も、一定数のボリュームを占めています。

「女性活用」するなら、家庭と両立できる雇用環境を

政府は、もっと多くの女性に働いてもらいたい(そしてより多くの税金を収めてもらいたい)と考えているようですが、横浜市の調査結果を見ると、「専業主婦の再就職」には、依然として大きな壁があることが分かります。

調査では、現在就労していない女性に、「就職・再就職するために必要だと思う行政からの支援」を3つまで答えてもらっています。最多は「女性の採用・登用や、育児・介護と仕事を両立するための勤務制度の整備・運用についての、企業への働きかけ」(69.3%)、次いで「就職・再就職のための支援情報や求人に関する情報提供、求人元とのマッチング」(51.2%)、「保育・介護等に関する公的サービスの充実」(50.0%)も、半数にのぼりました。

「子育てと両立でき、かつ、納得いく条件で働きたい。そのための制度を整えてほしい」という女性たち。政府がいうように、女性の「潜在能力」を活かそうとするなら、まずは行政が企業に働きかけ、家庭と両立ができる仕事をもっと増やすことが重要でしょう。昨今、人手不足に悩む小売・サービス業では、「パート社員の地域限定正社員化」など、柔軟な働き方ができる正社員を増やす向きもあります。こうした流れに、少しは期待できるかもしれません。

北条かや

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