日本で同性婚の法整備が進まない理由

「パートナー法ネット」共同代表・大江千束さん

2015年2月12日、東京都渋谷区が同性カップルに「結婚に相当する関係」と認める「パートナーシップ証明」を発行する条例案を、3月に区議会に提出すると発表しました。この条例案が可決されれば、法律とは異なるものの、日本で初めて同性パートナーシップを公的機関が認知する制度になります。

世界では、2000年にオランダにて同性婚法が成立し、その後、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、イギリス、フランスなどの国々が続きました。アメリカでは州ごとに法制化が勧められていましたが、連邦裁判所が全州における同性婚の合憲性を、6月頃までに判断する見込みだと報じられました。

日本では、なぜこれまで同性カップルに対する法整備が進まなかったのでしょうか。現在の婚姻法が適応されない様々なパートナーシップを守るための「特別配偶者法」設立を目指す全国ネットワーク「パートナー法ネット」の共同代表・大江千束さんにお話を伺いました。

「見えない」存在には政治は動かない

――オランダ、スペイン、イギリス、フランスなどヨーロッパを中心に世界各国で同性婚が認められています。またドイツのように生活パートナー関係法を取り入れている国もありますが、なぜ日本では同性カップルに対する法整備が進まないのでしょうか。

大江千束さん(以下、大江):個人の見解になるかもしれませんが、大きくわけて2つの問題があると思います。まずは同性愛者の姿が日本の社会において、「見えない」存在だということ。「そういう人が世の中にいるのは知っているけれど、私の周りにはいない。何をどう困っているのかがわからない」というように、今の日本では、同性カップルの顕在化があまりはかれていません。

法の整備をしていく場合、世論がどうとらえているかというのが重要です。我々も政治に対して働きかけを行っているんですが、政治家の方々がおっしゃるのは「皆さんがお困りのことはわかりますけれど、世論が把握しているかがとても重要なんです」ということなんですね。民主主義において、政治を動かすのは「人の数」です。しかし、大方の人たちにとっては直接関係のないことであったり、同性カップル自体を受け入れられない様子も、まだあると思います。

同性カップルが「結婚」を発表する意味

――テレビではたくさんの「おネエタレント」が活躍されていますが、それでも顕在化されていないということでしょうか。

大江:テレビでは、キャラクターのように扱われていますが、街の中で暮らしている当事者は一目見てわかりませんよね。セクシュアリティーを公表していない方もいらっしゃいます。そういう点で難しさがあると思います。

――年末も女優の杉森茜さんとタレントの一ノ瀬文香さんが事実上の「結婚」を発表されて、メディアで大きく取り上げられました。

大江:ブライダル産業も同性カップルを推奨するところが増えてきました。まだ日本では法律的には効力はありませんが、結婚式を挙げたことによって周りから認められるような、意味づけはあると思います。また、結婚を発表することは、同性カップルの顕在化、世論の喚起につながるので、とても重要なことだと思っています。

今の婚姻制度にジェンダーの平等はあるのか

――そしてもうひとつの問題とは?

大江:現在の婚姻制度にジェンダーの平等があるのかということです。結婚できる年齢は女性が16歳、男性が18歳。なぜ揃わないのかと思いますし、離婚して再婚するにしても男性は離婚した翌日からできる一方、女性は6か月の再婚禁止期間が課せられています。それから姓に関しても、9割以上の女性が男性の姓に変更しています。男女の不平等は、ちょっと思い浮かべただけでもそれだけあります。

憲法24条第2項において、「個人の尊厳と両性の本質的平等」と謳われてはいますが、今でも結婚式場に行くと、「○○家 □□家」と並んでいる。結婚において「家同士の結びつき」という側面は未だに強く残っています。親の介護の問題になったときに、嫁である女性が介護する役割を求められたり、女性に家事労働の負担が集中することが多い。現行の婚姻制度の問題はいくつもあるのに、それと同じ枠組みの中に同性カップルも入りたいんですか? という疑問が出てきます。

そこで、同性婚法とはまた別に、パートナーシップ制度についての議論が必要になってくるのではと思っています。

>>【後編につづく】東京オリンピックまでに日本は変わるべき―「同性婚」推進団体代表に聞く、いま法制化が必要な理由

(編集部)

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