イケメンの裸を見に行くプロレスの楽しみ方

広く。さん。お顔を隠されていますが、お美しいです。

>>【前編はこちら】パンツ一丁の男性に会える非日常―プロレス本を出版した女性が語る、プロレス女子急増のワケ

一番興奮する瞬間は、選手が最後の最後に最強の必殺技を出してバシッと決まった時

――広く。さんがプロレスを好きになったきっかけは、何ですか?

広く。:学生の頃にテレビで偶然プロレスの試合を見て、これはスポーツなのか、演劇的なものなのか、それとも本気で戦っているのか、今まで見たスポーツや格闘技、どれとも違い、しかも、飛んだり、はねたり、くるくる回ったりしていて、「人間の体はこんな風に動くんだ!」と衝撃を受けました。

プロレスの中で一番興奮する瞬間は、やっぱり選手それぞれが持つ、最強の必殺技を最後の最後に出して、バシッと決まった時です。プロレスの技は、これまでに1,000とか2,000とか、数え切れないぐらい多く誕生していて、「バックドロップ」や「コブラツイスト」のように、名前だけなら女性でも聞いたことがある、昔から何十年も使われているような基本技から、相手に効いてるんだか、効いていないんだか、わけのわからない、最新の攻撃力ゼロの技まであります。

本の表紙も「サボテンの花」という、何がどうなっているんでしょうみたいな、かなりマニアックな技です。技を知っていると、試合を見た時に、あの技だ、この技だ、ということがわかるので、プロレス観戦がより楽しくなると思いますよ。

白黒ハッキリせず、グレーのまま楽しむ。負けた方にもドラマがある

――プロレスを見ていると、よけることができそうな攻撃をあえてよけないなど、勝負のハズなのに、敵がやけに協力的に見えるところが不思議なのですが……。

広く。:プロレスは、白か黒かはハッキリとは言えなくて、グレーのまま楽しむ。そういう面もあります。だから、ハマるには向き不向きがあって、白か黒かはっきりしたい、曖昧は生理的にムリという方は、不満がたまっていくかもしれません。

リングに倒れて「待ってるじゃん」とか、「よけれるじゃん」とか思っている時もあるんですが、ハマるファンは、相手の攻撃を受けて、受けて、受けきって、すべての引き出しを開けきって、なお、勝つという姿に興奮しますね。

また、プロレスの場合、負けた方にもドラマがあって、例えば、身長170センチぐらいの人が一生懸命鍛えて体を大きくして、バリバリのキャリアを持つ、180cm超えのムキムキの巨人に必死にくらいついて、互角くらいの戦いをして、それでも負けるという時には、負けた方が逆にクローズアップされることすらある。強ければ、ファンに支持されるかと言われれば、必ずしもそうでもないんです。

「イケメンの裸をちょっくら見に行こうか」みたいな気持ちで、会場へ

――会場にいる女性ファンは、どんな方が多いのですか?

広く。:年齢は20~30代が多いですね。かつてアイドルの追っかけをしていて、プロレスが好きになった人は、団扇に棚橋と書いて、Tシャツを着て、タオルかけ、目線がきたら、「キャーーーッ」と黄色い声を上げてしていますし、スポーツ観戦が好きだった人は、男女混合チームで同じTシャツを着てサポーターのように観戦しています。

それ以外にも、全身黒づくめの服を着て、無表情でじっーと見ているバンギャル系や、バッチリメイクで「私を見て」という感じのキャバ嬢風の女性たち、かと思えば、1人で訪れて、レモンサワーを飲んでおっさんのように観戦したりと、プロレスはこう見なきゃいけないみたいな作法があるわけではない。それぞれのお作法を持ち込んで、好きなように応援すれば、OKなんです。女性はそういう風に盛り上がるのが上手なんだと思います。もちろん選手や他のお客さんに迷惑をかけない気遣いは大切ですが。

――プロレス初心者の女性向けに、プロレスの楽しみ方を教えて下さい。

広く。:ステップとしては、インターネットで「プロレス」「イケメン」とかで検索してみて下さい。それで、ズラッと出てきたお好みのイケメンを選んで、「イケメンの裸をちょっくら見に行こうか」みたいな気持ちで、会場へ行ってみることです。新日本プロレス以外にも、魅力的な選手がたくさんいます。ぜひ「これは!」という団体を開拓してみて下さい。

チケットは3,000円ほどから、リング近くの席で1万円ほどです。実際に足を運んだら、近い席であれば選手の表情を見たり、タッグマッチ(主に2人組のチームで戦う試合)ならば、同じチームで控えているときに内緒話をしたり、仲間同士の絡みのようなものを見ても良いですね。

あとは、周りの空気に身を任せて、会場があたたまってきたら、自分も乗っかって、「棚橋~!」と好きな選手の名前を叫んだり、試合を見て攻撃が決まったら、「うぉーー」「よっしゃー!」と、大声を出せば、ストレス発散もできます。普段のデスクワークで、上司にハイ、ハイ言ってるときには出せない、意外と多くの女性が持っている秘めたる野性も解放できるんじゃないかと思います。

アラサーの女性は、自分なりの人生に、生活のハリを求めていると思います。そういう思いを持っていらっしゃる方にとって、プロレスはイケメンを見て潤う、というような女性らしい欲求も満たすことができるし、実は女性が持っている秘めたる野性、男らしさを解き放つこともできる、あらゆる女子を飲み込む大海原のような懐の深さがあると思います。1回ハマってしまうと、若手の成長を追いかけたりしないといけないので、忙しくなりますよ!

●広く。(ひろく。)

鳥取県東部出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。2010年から女子中学生らがプロレスごっこをする技図鑑のイラストを中心としたブログ『プ女子百景<プロレス女子図鑑>』を運営。新日本プロレス公式モバイルサイトにて連載中の『新日本学園・女子イラスト部』の一員としても活躍中。内藤哲也選手(新日本プロレス所属)の熱狂的なファンでもある。

上浦未来