今、アメリカで話題になっているひとつのコマーシャルがある。#LikeAGirl(女の子のように)というハッシュタグを生んだP&Gの生理用品「オールウェイズ」のコマーシャルだ。

「女の子みたいに」走るというのは「できるかぎり早く走ること」

CMの内容は以下のとおり。

「女の子みたいに(Like A Girl)」ってどういう意味なんだろうか?

「『女の子みたいに』走ってみて」
「『女の子みたいに』戦って」
「『女の子みたいに』投げて」

コマーシャルに登場する思春期以降の子供たちは、このようなリクエストに、皆一様の独特のジェスチャーをしてみせる。内股でなよなよ走ったり、髪型を気にしてみたり……。「女の子みたい」であることを馬鹿にしているように見える。「女の子みたいに」何かをすることは、一体いつから侮辱の対象になってしまったのだろうか?

「今、妹のことを馬鹿にしたの?」と問われた男の子は、意外そうな表情で「違うよ!」と否定する。

「確かに、女の子のことは馬鹿にしたかもしれないけど……妹のことは馬鹿になんてしないよ」

女の子全体を馬鹿にすることは、女の子のひとりである自分の大事な妹をも馬鹿にしていると捉えられる。しかし、そんなふうには思いもよらないようだ。

次にカメラの前に呼ばれた思春期前の女の子たちは、先ほどと同じ「女の子みたいに」走ったり戦ったりしてみて、というリクエストに全く違う反応を見せる。全力疾走だ。戦うジェスチャーも本気だ。次々とパンチを繰り出す。さっきまでの子たちが見せたような、ふざけながらなよなよしたのが「女の子みたい」だという概念を、この子たちは持っていないのだ。

「『女の子みたいに』走るというのは、あなたにとってどういう意味?」と問われた彼女は言い切る。「できるかぎり早く走ること」と。その自信に満ちた表情は感動的ですらある。

アメリカでもっとも視聴率が高いスーパーボウルの試合の時に放映

コマーシャルは、「#LikeAGirl(女の子みたい)が、素晴らしいことを意味するようにしよう」というメッセージで締めくくられる。このコマーシャルは去年から話題になっていたが、今回アメリカでもっともテレビ視聴率が高いスーパーボウルの試合の時に放映された(ここで放映されるCMも「一年中で一番出稿料が高いスポット」と言われるもので、各社が力のこもった広告を出すことで知られている)こともあり、改めて注目を集めた。

ツイッターをはじめとするSNS上には、このハッシュタグ#LikeAGirlがトレンド入りし、多くのコメントはこのコマーシャルを賞賛するものだった。

コマーシャルの監督を務めたローレン・グリーンフィールドさんも「はじめはどんな反応が返ってくるかわからなかった」と言う。

「結果はとても感動的で驚きに満ちたものでした。ステレオタイプが、私たちの中にどれほど染み込んでいるのかを改めて認識させられましたし、人々がそれを変えたがっていることも理解できました。当然のことだと考えていることに改めて意識を向けることは、変化への第一歩です。そして、この『大したことない』と考えられている言葉へスポットライトがあたることで、次世代の子供たちに向けて、より力を与えるための会話が生まれることを望んでいます」

このコマーシャルは、「約半数の女の子たちの自信は、思春期になると急落してしまう」という研究結果を元に作られたという。でも本当は、多くの女の子たちが自信を失う必要などないのだ。

「“女の子みたい”というのは、侮辱のための表現ではあってはなりません」とグリーンフィールドさんは語る。「それは、強いことであり、才能があることであり、素晴らしいことなのです」

 
(市川ゆう)

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