依存型「かまってちゃん社員」の対処法

>>【前編はこちら】自分をうつだと思い込む「かまってちゃん社員」とは? 会社経営を圧迫する“面倒社員”の扱い方

前編では「かまってちゃん社員」の特徴や基本的な取り扱い方を取り上げました。後編では、アラサー女性に多い「かまってちゃん社員」の傾向と対策、さらに自身がかまってちゃんだと認定されないための心得をご紹介します。話題の本『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー携書)の著者で、産業カウンセラーの大野萌子さんに話を伺いました。

    年齢の近い後輩かまってちゃんには依存されるな

――同書の中では、「かまってちゃん社員」は若者だけではなく、中高年にもいると書かれていますが、ウートピの読者層のアラサー女性に多い「かまってちゃん」タイプを教えてください。

大野萌子さん(以下、大野):本書で紹介した「こわれもの取扱い注意タイプ」が多いですね。話を聞く側としては「えっ、そこ?」と驚いてしまうほど、些細なことで落ち込んでしまうタイプです。か弱さを美徳としている人が多く、過呼吸の症状を起こすこともあります。

――直属で歳の近い後輩がかまってちゃんの場合は、先輩としてどういった態度で接するべきでしょうか。 

大野:年齢が近いと共通点も多く、打ち解けやすいのはメリットですが、その反面相手が依存的になりやすいといったデメリットもあります。同世代だと「わかる、わかる」と反応してしまうポイントが多いので、「この人だとわかってくれる」「この人になら言える」と依存に発展しやすいのです。

かまってちゃんは他人と自分との境界線が曖昧なので、相手が自分をわかってくれると思うと、距離感を考えずにぐいぐい入り込んでくることが特徴です。その結果、もしこちらが突然そっけない態度をとると「裏切られた」「信じていたのに」と批判される可能性もあります。

――実際に「年次の近いかまってちゃんに困った」といった事例を聞くことはありますか。

大野:朝から晩までメールを送りつけられる、という話はよく聞きます。年次が近い先輩に対し「部長がムカつく」「顧客に〜と言われて腹が立った」など、1日に何度も連絡するかまってちゃんもいるのです。

    「同感」ではなく「共感」してあげる

――ではどうすれば、かまってちゃんを依存させず、適切な距離を保てるのでしょうか。

大野:よく「同感」と「共感」の違いを意識しましょう、とアドバイスをしています。世代が近いと同感してしまいやすいのです。とくに関係が浅い頃は「私もそう思う」と同感しがち。同感は距離を縮めるきっかけとしてはいいですが、続けると依存関係が確立してしまいます。

そのため、途中から同感から共感に切り替えることが大事です。共感の主語は同感とは違って、あくまでも「あなた」。否定をする必要はありませんが、「あなたは〜と思うのね」と表現することで、少し距離を置いているような印象になります。

――一共感のスタンスをとっていても、万一かまってちゃんの標的になりかけた場合、どうすればよいのでしょうか。

大野:最悪の場合、ほかの人に「●●さんに裏切られた」「●●さんはひどいんですよ」と吹聴したり、悪口を言ったりするかまってちゃんもいます。勝手に悪者にされてもたまりませんよね。そんな泥沼にはまってしまう前に“予防”することが大事です。

たとえば、かまってちゃんに対応する際に「時間枠」を設けるのも効果的です。話を聞いてほしいと言われたら「今は手が離せなくて聞けない。●時から●分間ならOK」、もし電話がかかってきたら「30分だけね」と伝えるようにするのです。

私は電話相談の仕事もしていますが、事前に「相談時間は○分です」とご案内するようにしています。終了間際に「そろそろおしまいです」とだけ言うと、「話聞くのが仕事でしょ」とキレてしまう人もいるのです(笑)。一方、最初に時間枠を強調しておくと、そんなことにはなりません。かまってちゃんの扱いもそれと似ています。

    「安定感のある女性」はかまってちゃん認定されない

――ここまではかまってちゃんの対処法についてお聞きしてきましたが、ここからは自分がかまってちゃんだと思われないためのふるまいをお聞きしたいです。具体的に何を心がけるとよいのでしょうか。

大野:まずは感情的にならないこと。なかには職場で泣き出すかまってちゃんもいます。ひどい場合はお客さんに何か言われて、窓口で泣いちゃうケースも……。次に、言うことを気分でコロコロ変えないこと。「どうしてわかってくれないの?」「どうせ私は」などはNGワードでしょう。

ちなみにうつ状態のときは、脳内の物質・セロトニンが不足します。もともと男性より女性のほうがセロトニン分泌量は少なく、バイオリズムによっても変化します。そのため生物学的には、男性よりも女性のほうが感情的になりやすいのです。

――覚えておきたいですね。そういえば、かまってちゃんというと「=自意識過剰」なイメージもあります。

大野:本当に自意識過剰なかまってちゃんはいますよ。職場の男性から「髪切ったの?」と聞かれただけなのに、「私彼氏いますから!」と答える女性の話を聞きました。彼女としては「私に興味を持たれても困る」という気持ちなのですね。社交辞令や雑談なのにそれを普通に受け止められず、過剰に反応してしまう傾向があるのです。

上司に仕事の打ち上げを兼ねて誘われて、何度か食事をしただけにも関わらず、退職前に「引っ越したほうがいいでしょうか?」と相談を受けたこともあります。彼女としては、上司は自分に気があるはずなので、自分が退職して接点がなくなると寂しくなって、ストーカーに変貌するのではないか、という思考回路を持っていたようで。

――想像力が豊かすぎますね。

大野:相当なストーリーテラーだと思います。こういった過剰反応をしてしまう世代は30代女性を中心に多いです。年齢的にさまざまな焦りがあるのか、自意識が強くなってしまう傾向が見られます。

このほかにも、SNS上に非日常感のある投稿をしすぎる人もいます。生きている限り、人には承認欲求があるので、ある程度は仕方がありませんが、頻度を考えないとかまってちゃん認定されるので気をつけたほうがいいでしょう。

――ですよね……。ありがとうございました。

●大野萌子(おおの・もえこ)
Office MOEKO(おふぃす もえこ)代表。防衛省、文部科学省などの官公庁、大手企業、大学、医療機関などで、年間120件以上の講演・研修を行う。企業内健康管理室カウンセラーとして、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントを得意とし、現場での経験をふまえ、机上の空論ではない活きたメンタルヘルス対策を提供している。(一社)日本産業カウンセラー協会において、産業カウンセラー及び、キャリアコンサルタント養成指導歴15年。法政大学卒。産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。

※編集協力/プレスラボ

池田 園子

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