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2015/01/20

妊婦差別が増加するアメリカでマタハラ裁判

2014年の新語・流行語大賞の候補にも選出された「マタニティハラスメント」(以下マタハラ)は、妊娠または出産した女性に対する嫌がらせ行為。昨年10月に病院に勤めていた女性が起こした裁判で、最高裁が「妊娠を理由にした降格などは違法である」という判決を下して注目されました。日本にもようやく「マタハラ許すまじ」と表立って主張できる環境が整ってきた。そんな印象を持った女性も多いのではないでしょうか。

そんなマタハラに関して、様々な機会や人権に対して先進的なイメージがあるアメリカの現状がよく分かる2つの事例を『CBSニュース』よりご紹介します。とても意外なことに、同国では1997年から2011年の14年間に、米国雇用機会均等委員会(EEOC)への妊娠関連差別の苦情が43%も上昇しているそうです。

妊娠によって辞職に追い込まれた2人の女性

介護アシスタントとして働いていたコールさんは、昨年の第3子臨月時、医師から患者を抱え上げるなどの重労働は奨められないと通達されました。そのため、職場に軽作業への異動を求めたのですが、答えはNO。結果的にシフトから外され、職を失うこととなりました。

無事に第3子を出産することはできましたが、乳飲み子を抱えて新しい職場を見つけるのは容易ではなかったそうです。その後、幸運にも他の介護施設に就職できましたが、先日、彼女は失った給与と賠償金を求めて、前の職場に対して訴えを起こしました。

また、運送会社の従業員だったヤングさんは、2006年に妊娠。医師から妊娠期間を通して重い荷物を持ち上げることを禁じられました。彼女も職場の責任者に相談したところ、無給休暇を要求された上で、最終的にはやはり辞職にまで追い込まれました。未払いのまま放置された7か月分の給与と健康保険の支払いを求めて、2012年に元職場に対する告訴に踏み切りました。

ヤングさんの弁護士は、1978年に成立した「妊娠差別禁止法」(※)に違反していると主張。対する元職場の主張は、「彼女の辞職は妊娠とは無関係であり、彼女の能力がなかっただけ」というものでした。2013年に控訴裁判所が出した判決は、「妊娠差別禁止法は通常の妊娠中の女性を明白に除外している」と判定し、元職場の訴えを支持するものでした。

(※)妊娠差別禁止法:1978年にアメリカで成立した法律で、妊娠を理由に解雇、減給、医療保険の拒否をするのは違法であると明確に定義しています。しかしながら、雇用主が妊娠中の女性に有給休暇を提供する必要があるのかどうか、どのような場合にどのような対処をすべきかに関しては具体的な判断基準や義務が定められていません。そのため、コールさんやヤングさんのケースのように、妊娠差別禁止法の解釈を巡る裁判が絶えることはありません。

子どもを持つ世帯の40%で一家の稼ぎ手は母親

納得できなかったヤングさんは2014年最高裁に上訴。昨年末に再審議が必要かどうかを判断するために、最高裁が異例の聴聞を行うという事態にまで発展しました。2015年1月現在、まだ何の回答も示されていませんが、最高裁が控訴裁判所の判決を覆すかどうかは、妊娠中の全米女性が注目しています。

子どもを持つ世帯の40%において、一家の稼ぎ手は母親が担っているというアメリカ。とりわけコールさんやヤングさんのように、経済的な理由で仕事を続けなければならない女性たちにとっては、重要な判決となりそうです。

アメリカと日本、もちろんそれぞれ法律は違いますが、同じような妊婦差別問題で苦しんでいる女性がたくさんいるのは間違いありません。今後、日本でも同様の裁判が増えていくのかもしれません。

参考記事:North Carolina woman Jamie Cole fights pregnancy discriminationUPS worker sparks Supreme Court case on pregnancy leave

チキティータ千賀子

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