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2015/01/19

人権問題がテーマのアムネスティ映画祭

先日、パリの新聞社「シャルリー・エブド」をイスラム過激派が新聞社を襲撃し、12名の犠牲者を出したという事件がありました。表現の自由と、それに対するテロ行為についての様々な意見が連日、ネットやテレビを通じて飛び交っています。

そんな中、紛争や貧困、差別や拷問などの人権侵害を救済する活動を行っている世界最大の非政府組織(NGO)「アムネスティ・インターナショナル」による映画祭「第5回アムネスティ・フィルム・フェスティバル」(以下:アムネスティ映画祭)が1月24日、25日に都内で開催されます。

弾圧されながらもブログを通して人権状況を発信し続けるキューバ等の女性たちを追った『禁じられた声』、セクシュアル・マイノリティーの権利を求めて闘う人たちを描いた『Call me Kuchu ウガンダで、生きる』などのドキュメンタリー映画を上映する本映画祭。アムネスティ・インターナショナル日本の活動マネージャーをされている川上園子さんに開催への想いなどお話を伺いました。

映画をきっかけに垣根を低くして問題を知ってほしい

――アムネスティ映画祭の趣旨を教えてください。

川上園子さん(以下、川上):多くの人にとっては難しい人権問題というテーマについて、映画によって垣根を低くすることで、皆さんと一緒に考えていくことを目指しています。

――どのような方に来ていただきたいでしょうか。

川上:もちろん性別、年代問わず沢山の人に来ていただきたいです。1作品ごとに購入いただくのではなく通し券チケットにしていますので、お目当ての1本を観た方も他の作品と出会うことでいろいろな問題を知ってほしいと思います。

今年は差別や表現の自由、冤罪やマイノリティーの権利などベーシックな人権問題と闘っている人たちに焦点を当てた作品が多いです。リアルな現実を伝えていますが、決して暗く苦しいものではなく、希望やユーモアも溢れて描かれていますので、きっと忘れられない作品に出会うことができると思います。

日本は人権問題で国際社会から孤立していく可能性もある

今回は、埼玉県狭山市で起こった女子高生殺人事件の冤罪に対して50年以上無罪を主張し続ける男性とその妻を追った『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』、外国人と日本人のハーフとして生まれた子どもたちが自らと日本社会を問い直す『ハーフ』、高校授業料無償化からの排除などの現実と立ち向かいながらも猛練習を続ける大阪朝鮮高級学校ラグビー部に3年間密着した『60万回のトライ』と、日本の作品も3本上映されます。

――日本の人権問題というのは世界的に見てどのような状況でしょうか。

川上:日本にも顕在化されにくいですが、被差別部落や外国人などの民族的マイノリティーに対してや、職業差別やヘイトスピーチなど、社会に潜んでいる差別の問題はありますよね。でも実は日本政府は、「日本には差別禁止法をつくるほどの差別はない」と国連などで言っています。日本の1番の問題は、この「差別について向き合わず認めていない」ということにあります。

――国が認めないとなると、もちろん法的な制度は設けられないですよね。

川上:そうですね。国連から「国内の差別という問題を認め、差別を定義し、制度を整えなさい」と言われているのですが、大きな動きは見られません。人権についての条約が定めた「国際人権基準」に対しても後ろ向きになっているため、国際社会から孤立する可能性すらあるんです。

民間レベルで話題になれば問題解決へとつながる

――日本には人権問題に取り組んでいる団体もあまりないのでしょうか。

川上:日本にも障がい者への差別、刑事司法、民族的マイノリティーへの差別など、人権に関する色々な団体があるのですが、多くの団体は規模も小さく、問題を解決できるほどの力があまり持てていないのが現状です。当事者の方は一生懸命活動されているのですが、なかなか世間一般には浸透していないので大きな動きが見られないのです。

――私たちがひとりひとり問題に向き合うことが、一番の解決策ということですね。

川上:そうですね。もちろん熱心に取り組んでいる方はいらっしゃいますが、政治家の皆さんは「人権問題はあまり票にはつながらない」ということであまり取り上げてくれません。ですから、私たちはこうした映画祭で皆さんにメッセージを伝え、民間レベルで大きな動きにしていくことで、メディアや政治家から注目され、問題解決へとつなげたいと思って活動をしています。

・アムネスティ・フィルム・フェスティバル公式HP

(編集部)