大泉りかの秘告白部屋 ~女の闇は深く、生暖かい~
女の闇は深く、生暖かい――官能小説や女性向けポルノノベルで活躍中の人気作家・大泉りかが、知られざる“女の闇の真実”を解き明かす! 働いて、好きなことをして、充実した生活を送る。これらは、ごくシンプルで当たり前のことのように思えます。しかし、その『慎ましい望み』が『欲望』となると、途端に強い執着と依存とを生み出してしまうことも…。大泉りかの秘告白部屋、OPEN!
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買い物依存が止められない35歳女の闇

冬のセールで今年はどんなコートを買いましたか。クローゼットの中身をふと思い出して、うすら寒い瞬間はないでしょうか。「わたしは何のために毎年、コートを新調しているのか」と。「モテたい」「ダサいと思われたくない」「自分にご褒美」……これまで様々な理由で買い足してきた洋服たち。しかし、わたしたちはいくつまで、言い訳とともに消費を続けていかなくてはならないのか――今回、登場してもらうのは、怒涛の浪費ループに陥ってしまった女性です。

「なんとかなる」と思っていたけど、いよいよシャレにならなくなってきた H美さん(35歳・代理店勤務)

H美:ちょうどいま、貧困の真っ只中にいるんです。ここんとこ最近は、スイカのチャージ金と、あとは身の回りの物を売り払って、毎日の食費交通費を稼いで、なんとか生きながらえている状態です。例えば、この間、某古本屋に持っていった朝井リョウの新刊が600円で売れたんですよ。それに味を占めて新刊をどんどん持って行ったら、角田光代がかろうじて150円くらいで、他は全部10円でちょっとがっかりしました。

でも、服って、本よりもさらに安いんです。30着売っても800円とか。たまーにフォーエバー21でも50円とかの値がついてラッキーってことはありますけど。今までで一番高かったのはギャルソンのニットで1,000円……って考えると、朝井リョウ、どんだけ利率いいんだって話ですよね(笑)。

――なかなか自転車操業ですね。

H美:こうやって、なんとか日々2,000円くらい稼いで、給料日まで耐えていくんですが、でも普通、こういう生活になったらその2,000円を大切に使うじゃないですか。それをまた、つい使っちゃうんですよ。「明日、またお金を作らなくっちゃ」って頭ではわかっていても、つい通勤途中に雑誌を買ったり、なんなら、誘われれば有り金握りしめて飲みにも行くし。

この歳になると、年々、クロゼットの中の服が似合わなくなっていく

――でも、変な話、貧乏くささはまったく伝わってこないですよ。服だって流行のものを着てる感じだし。

H美:給料が出てたタイミングで、欲しい服があれば買いますからね。だってクロゼットの中に、着たい服はひとつもないんです。だから、「買うしかない!」ってなっちゃう。売っても売っても、まだまだ、いっぱい服はあるのに……。あと、これは加齢問題もあるんです。この歳になると、年々、クロゼットの中の服が似合わなくなっていく。ようするに服の消費スパンがどんどん短くなっていくんです。だからそれは某モードオフに売り払い、で、減った分の服を補給して……。

――物を買うのに、それなりに必然性はあるわけですね。

H美:そうです。そうやって「必要だから」って浪費をくり返しているうちに、ついにカードを止められてしまったんですが(笑)。 最初はひとつのカードに生活費をまとめたんですよ。そうしたら20万くらい請求が来ちゃって。でも、こういう生活だから、当然払えないじゃないですか。だから無視しつつも、なんとか3か月くらいかけて返済したんです。

けど、返済してもそのカードは使えなくなってしまって、で、今度はもう一枚あった別のカードを使うようになったんですが、そっちにひと月後、なぜか27万円の請求が来ちゃって(笑)。いや、全部わたしの浪費ってわけじゃなくって会社の出張を立替えたりとかもあったんですが。で、当然払えず。それもなんとか返したんですが……そういうのをくり返し、くり返しやってるんで、もうわかんないんです、自分の財政状況が。

世の30代って、いったいどうやってお金と折り合いつけてるの?

――それ、ちゃんと把握しないと、いつかまずいことになりますよね。

H美:そう、最近少しだけ思い始めたんです。今まではノリで「大丈夫っしょ」って思ってたのが、「あれ、これ、大丈夫じゃないな。ヤバいな」って(笑)。もやしをかじりながら豆腐を齧ってって、わたし、こんな35歳になるだなんて、想像もしてなかった……世の30代の女の人って、いったいどうやってお金と折り合いつけてるんですか?

平成24年度の国税庁発表の「民間給与実態統計調査」の年齢・年代・世代別の年収データによると、女性の30代前半の平均年収が296.9万円、30代後半になると292万円。以前は年収300万以下というと、低収入と言われていたが、しかし今では給与所得者の約4割が300万以下だともいう。

しかし、一方で消費の熱は醒めない。特に30代独身女性の場合「結婚したら、今みたいに好き勝手していられないから」「子供が出来たら自由はできないから」といった理由で、旅行やファッション、映画や読書などの趣味に好きに自分の稼ぎを費やしたいという気持ちもある。「今だけだから」「来年はもう出来ないかもしれないから」という言い訳が、飽くなき消費へと駆り立てるのだ。

大泉りか