アラサーになっても返済が続く奨学金問題

「返済のため風俗店でバイトをする女子学生が増加している」といったニュースが飛び出すほど社会問題化している奨学金。堀江貴文氏がTVで「こんなことまでして大学行かなきゃいいんですよ」とコメント、賛否両論呼んでいる(参照:「堀江貴文氏が借金して進学することを批判」)。

実際、筆者も450万円借りた奨学金を毎月3万円弱ずつ返済しているが、30代後半になっても完済はほど遠い。アラサー女性にとっても人ごとではないだろう。

    奨学金の延滞が19万人

現在、奨学金問題と言われているのは主に「日本学生支援機構」(以下、機構)の奨学金のことだ。最もよく知られ、高校在学中から予約できることもあって、多くの人が大学、短大、専門学校等への進学にあたり利用している。

「奨学金」には返さなくて良い奨学金もある。しかし、今、問題となっているのは、この機構の“返還の義務のある貸与”だ。その上、無利子の奨学金の枠は限られており、多くの人が有利子で借りている。機構の発表によれば、一昨年末時点で奨学金を返済している人は約290万人、それに対して3か月以上延滞している人は約19万人となっている(参照:平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果)。

    奨学金がなぜ社会問題となったか

なぜ機構の奨学金が近年社会問題化したのか。理由の一つは、若者の雇用情勢の悪化だ。皆が正社員として就職し、年功序列で賃金が上がっていった時代には、返済が比較的スムーズに行われたため問題とされなかったのだろう。しかし、低賃金での非正規労働の広がりや、正社員でも賃金上昇が望めない人も増えた中、返済が難しくなってきたわけだ。

さらに、学費の上昇による負担増に、家計収入の落ち込みが重なり、奨学金の利用が増加していることもある。機構の「学生生活調査」によれば、昼間部大学生の年間平均授業料は、平成16年から平成24年の8年で約6万円増の約87万円。それに対して、家庭が学生に対して負担できる給付額は減少、下宿等で親元を離れて暮らす学生の仕送りはこの間約30万円減少している。その分、増えているのが奨学金で、8年で約10万円アップの41万円が平均となっている。

    執拗な取り立て、ブラックリスト登録

こうした社会情勢に加え、奨学金問題対策全国会議は機構の対応が追い打ちをかけている現状を指摘する。一つは、救済手段が不充分な点だ。機構は返還期限の猶予や減額返還制度、返還免除の制度を設けているが、利用条件が厳しく、運用上もさまざまな制限があることが指摘される。周知が不十分で利用できる人も利用していない現状もあるようだ。

さらに、同会議は回収強化策が時代に逆行すると糾弾する。執拗な取り立てに加え、いわゆるブラックリストへの登録も始まった。

また、奨学金を借りる際には保証人、連帯保証人が必要な点も問題とされる。自分が返還できなければ、保証人になってくれた親や親戚に請求がなされることを恐れて自己破産もできないというのだ。

    そもそも奨学金はどうあるべきか?

返済の滞りがちな人の救済や高すぎる学費の引き下げ、返還の必要のない奨学金を増やすことも大事である。また、生活保護世帯や児童養護施設入所者など保証人を立てられず奨学金自体が借りられない若者の対策も必要だ。

しかし、そもそも奨学金を借りてまで進学する必要があるのか、というのも問題だ。確かに、大学を出たからといって良い就職先がある時代ではない。また専門学校も玉石混淆で、教育内容や就職指導が極めて不十分で、お金を払って進学する価値がないと思われる学校も残念ながらある。アラサーの今となっては「あの学校、借金してまで行く価値なかった……」といった体験をしている読者もいるだろう。

進学の必要性について議論する際の、大きな条件は就職だ。高卒就職の状況が良好で、良質な仕事が得られれば、就職希望者が増えるだろうし、高卒後の公的な職業訓練が増えるのも良いだろう。現在は数が少なく、学べるものも限られる公共の職業訓練大学・短期大学を、例えば、介護や保育のような人材不足の分野についても学べるようにするなど、幅と受け入れ人数を増やしてはどうだろうか。そろそろ高校卒業後の教育とお金について抜本的な議論もあって良いように思う。

鈴木晶子

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