ブルボンヌ先生のオンナの野戦病院
新春恋愛スペシャル! 昨年は「恋人が欲しい」「結婚したい」と合コンに参加したり、女子力アップに励んでみたものの、結果はイマイチだったアラサー女性も多いのではないでしょうか。一生懸命になればなるほど傷つくばかり……。2015年こそ幸せになりたいのに、どうしたらいいのかわからない! そんな胸の内を、これまでたくさんの「人」「恋愛」に触れてきた、女装家、エッセイスト、バーのママであるブルボンヌさんに聞いてもらいましょう。
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「恋愛したくない」人がいてもいい

「恋人が欲しい」「結婚したい」というアラサー女性。焦って合コンに参加したり、女子力アップに励んでみるものの、結果はイマイチ。一生懸命になればなるほど傷つくばかり……。いったい、何がいけないの?

そんなこじれた胸の内を、これまでたくさんの「人」「恋愛」に触れてきた、女装家、エッセイスト、バーのママであるブルボンヌさんに聞いてもらいましょう。2回目は、「もはや恋愛したいのかわからない」というお悩み。

「ブルボンヌさん、私は“年齢=彼氏いない歴”の『こじらせ女子』です。もう周りに独身が少ないので、数合わせとして合コンには誘われますが、いつも薄ら笑いでやり過ごしています。もう彼氏が欲しいのかどうかわかりません。恋愛ってそんなにいいものでしょうか」 T・Fさん(神奈川県・34歳 OL)

    「恋愛に不向き」を自覚しているのは正直者よ

第1回のお悩みと近いわね。恋愛の磁力が薄い。プラトンが「人間というのは、くっついていた2人が、1人ずつ引き裂かれた状態で、片割れを永遠に探すもの」と言っているけれど、その「魂の片割れ」を探す欲望が薄くなっていると思うの。社会的に出会いが多すぎることも原因だと思う。だって昔は数百人の村で、マッチングの対象が少ない中で、「お前は年齢的に、呉作か十兵衛」って無理やり結婚させられて、それを疑問に思わない時代が続いていたわけじゃない。

ここ100年くらいで急に自由恋愛になっているけれど、すべての人が自由恋愛の中で相手を獲得する能力に長けている訳ではないし、誰もが「魂の片割れ」をみつける嗅覚があるとは思えない。そこが抜け落ちているのに、焦っちゃうのが1回目の方だとすると、今回は恋愛に向いていないことを自覚している方ね。これは正直だと思うよ。

    恋愛したくない人がいたっていい

セクシャルマイノリティーの中でも、さらに少数派の方々がいて、恋愛欲求、性欲がない人を「無性愛=Aセクシャル(アセクシャル)」と呼んでいるのね。そもそも全員が、恋愛の熱量、性欲が同じではない。何でも横一列ではない以上、それが極端に少ない人も中にはいる。

性欲だけない人もいて、それぞれに呼び名が異なるんだけど、世の中、誰もが「つがい」になり、ドラマを見ればみんなが恋愛を謳歌し、音楽を聴けば「会いたくて会いたくて」とカナちゃんが歌ってる、そういう世界を当たり前だと思われているけど、そうじゃない人もいる。別に「こじらせ女子」が「アセクシャル」だとは言わないけれども、「自分はよくわからない」という気持ちがあってもいいのよ。

    「おひとりさま」同士、集まって暮らす老後もある

本人が求めていない以上は、昔ながらの親戚のおばちゃんが「あなたも早くいい人を見つけなさい」というのは、今でいう「ありのまま」じゃないことを強要されている状態。

問題は、社会が「結婚」「夫婦」という単位で生きることが当然になってしまっている点。でも、今の時代は、同性愛者は同性婚っていう新しいものを作ろうとしていたり、「新しい社会のあり方」が出てきている。たとえば「おひとりさま」同士が集まって老後を暮らすのもアリかもしれない。W浅野の『抱きしめたい!』をずっとやってる状態ね。

中には「子供を作って何ぼじゃ」と考える人がいるから、子供の問題はあるかもしれない。だけど、ウチらだって子供を作って家庭を築くっていうのはあり得ない状態だから。本人の中にどれだけ性欲がないのか、人とふれあいたくないのか程度の違いはあるにせよ、「自分は本当に彼氏はいらない」と本人が肚を括ることができれば、ムリに合コンに出て彼氏を作る必要はないと思うのよ。

    世間とのズレを感じたら、自分の欲望に向き合って

自分が欲しいものと、既存の幸せ像にズレを感じ始めている人が多いと思うの。セクシャルマイノリティーは、まさにそう。世間がお姫様と王子様の物語を与えてきたけれども、アタシたちは、そこに乗っかれなかった人たち。この生き様の中で、「何を幸せにしていこうか」という自由はあるけれども、同時に荒野でもある。荒野の道を自分で切り開かなくちゃいけないの。

選択肢があるっていうのは恐ろしいことなのよ。「自分で方向を決めなさい」と言われているわけだから、そこを自分で決めないと、ずっとグルグル彷徨うよね。だから人間は自由になればなるほど本人の資質が試されるのよ。

「彼氏が欲しくない」という実感に素直になって、その道を選ぶ人がいてもいい時代。その代わりに世間が描いてくれている「休日に子供を連れて遊園地に行きました」という“幸せの絵”は諦めなくちゃいけない。自由には責任が伴うように、「おひとりさま」の生き様にはそれなりに「孤独」と「しんどさ」が待ってる。付随してくるリスクや将来的な寂しさも覚悟した上ならそれでいいと思います。

●ブルボンヌ
女装パフォーマーエッセイスト、タレント。新宿二丁目のゲイミックスバー「Campy! bar」をプロデュースするなと多方面で活躍。『午後のまりやーじゅ』(NHK第一)木曜パーソナリティー、『ハートネットTV』(NHK)にも出演。

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