ネットで反響を呼んだ子育て提言が書籍化

2014年1月23日、ひとつのブログがハフィントンポストに転載された。日本社会が抱える育児の問題点に真正面から迫ったブログ『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』は、SNSでも瞬く間に広まり、Facebookの17万「いいね!」という驚異的な反響を生み出した。

このブログを執筆したのは、コピーライター兼メディアコンサルタントとしてメディア論に詳しい境治氏。このブログに端を発し、専門外ではありながら新たな育児のあり方に迫った書籍(ブログと同タイトル)が12月15日に刊行。それに先駆けて出版記念イベントが12月13日に開催された。

「子育てしやす社会インフラ」を境治が提案

右が著者の境治氏、左がブログのメイン画像および表紙の装丁を担当した上田豪氏

全ての人が子育てを中心に生活を組み立てる構造に

赤ちゃんの泣き声に対するクレームや待機児童の問題など、日本で子どもを産み育てていくことの難しさが取り沙汰される昨今。境氏は「会社中心でまわる現代の社会構造を、老若男女全ての人が子育てを中心に生活を組み立てる構造に変えていく必要がある」と話す。

「子育てしやす社会インフラ」を境治が提案

イベントには書籍のなかでも登場する、日本における育児のあり方に対して新しいアプローチをしている方が登壇し、境氏と意見を交わした。

「保育をサポートする」のパートでは、こどもみらい探求社共同代表の小笠原舞さん、こどもコワーキングスペースbabyCo代表の曽山恵理子さん、子育てシェアAsMama代表の甲田恵子さんの3名が境氏とともに、これからの時代の子育てについて考察を展開した。

「子育てしやす社会インフラ」を境治が提案

左は保育士経験を活かし、子育てに関する人材の育成やイベントなどを企画する、こどもみらい探求社共同代表の小笠原舞さん。ご自身は独身である

子どもを通じて価値観や物事の見方が変わっていく

イベント後に、独身女性が子育てを身近に感じるにはどうしたらいいのか、小笠原さんに話を聞いた。

「人として生きるということを考えると、子育ては大切でかけがえのないものです。いまは社会で活躍する女性も増え、キャリア形成の脇に子育てを位置づけている人も多くなっていると思います。でも、仮にキャリアを失ったときに、支えになるのは家族であり子どもなのではないでしょうか。自分が何を大事に生きていきたいのか、それからどういうキャリアを歩みたいのかを考えて、女性はバランスをとっていく必要があると思います」(小笠原さん)

子どもを持たないと子育ての良さは分からないものだが、こどもみらい探求社で開催される子どもと交流できるイベントなどでは独身女性の参加も多いという。

「子どもはしゃべらないから難しいとか、接したことがないから恐いという人もいますが、子どもがいるからこそ広がる世界もあると思います。例えば、草花の美しさに気づいたり、道を歩いていても今までにないような発見があったり。そうしたことは、効率的ではないかもしれませんが、子どもを通じて価値観や物事の見方が変わっていくと思います。とはいえ、子どものリアルを知らないまま、生み育てるのは不安なものです。ただ、女性には産めるリミットがあるので、どこかで決断しないといけません。今は子どもと交流できるイベントも増えています。なので、子供を産むか産まないかと頭で考えて悩むよりも、とりあえず子どもと交流できるイベントに遊びに行って、子どもと触れ合うことが大事です。触れ合ってから子どもを持つか持たないかを決めて欲しいですね」(小笠原さん)

子どもを産む人の7割が小さい子どもと接したことがない

また、「子どもを育てることで人間関係の幅が広がり、本当の豊かさを実感できた」と話してくれたのは、バリバリのキャリアウーマンであり一児の母でもあるAsMama代表の甲田さん。子どもができるまではママ友という関係にも苦手イメージを抱いていたそう。今では子育てをシェアする注目のサービスAsMamaの代表としてママたちをサポートするサービスを展開している。

「子育てしやす社会インフラ」を境治が提案

「キャリアを築いている真っ只中にいながら子どもを産むことについて、不安に思っている人もたくさんいると思います。いま日本では、子どもを産む人の7割が小さい子どもと接したことがないといわれていることも原因かもしれません。私ももし子どもがいなかったら、キャリア志向をつきつめていたと思いますが、いまでは子どものいない人生は考えられません」(甲田さん)

父母と独身男女が交流して子育てを助け合えるような仕組み

最後に境氏は、ライフスタイルを模索しているアラサー独身女性に向けて次のように話してくれた。

「自分が独身で子どもがおらず、バリバリ仕事をしているときは無我夢中なものです。ただ、家族との関係が一番大事という風にどこかで意識を変えると、子どもを持つ部下や後輩に対しても寛容になれるのではないでしょうか。あとは、子育てをしているお父さんとお母さんと、独身男女が交流して子育てを助け合えるような仕組みもできはじめているので、協力し合える関係ができると強いのではないかと思います」

末吉陽子

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