女性経営者が提案する「祝福される出産」

「BeautiQ」代表・植村絵里さん

>>【前編はこちら】夫に養ってもらうなんて甘い! 「私の離婚の理由」で話題の女性経営者が語る、女の自立が重要なワケ
南青山でクイックエステサロン「BeautiQ」代表の女性経営者の植村絵里さん。前編では、働く女性が仕事と結婚を両立させるためにできることを、ご自身の経験からお話してくださいました。後編では「働く女性が妊娠すること」について、経営者、女性の二つの立場からお伺いします。

共同経営者の「妊娠」を喜べなかった

――最初のベビーシッター事業は立ち上げから順調だったんでしょうか。

植村絵里(以下、植村):実は、学生時代の友達と共同で起業したんですが、起業して1か月後に、彼女の妊娠が判明したんです。彼女の気持ちも今となったらわかるんですが、そのときは暗黙の了解として、起業後しばらくは仕事に集中するものだと思っていたのでショックでした。

――計画していた妊娠ではなかったんですか。

植村:お互い結婚していて、「子供は欲しい」と思っていることは知っていたんですが、今は仕事に集中したいのか、いつでも妊娠できるようにしているのか、そこまでは話し合っていなかったんです。それで彼女は妊娠して、ほぼ仕事ができなくなった。私は初めての起業で、右も左もわからない状態。心に余裕が全くなくなってしまって、毎日、帰宅してから家で泣いていました。

その頃1回だけ、心の病院に行ったんです。お医者さんは話を聞いてくれて薬を処方してくれたんですが、その薬があまりにも大量でびっくりしました。薬を前にして、この状況を解決するのはこれじゃない、解決するのは自分自身で、お医者さんでも薬でもないんだと気づいたんです。

――薬を飲まずにどうやって立ち直ったんですか。

植村:やっぱり「仕事」だったんです。仕事をしていく中で、「ありがとう」と言ってくれる人に触れていくことで癒されていきました。人によって状況も症状も異なりますし、うつ状態から立ち直るには、人間として愛されてきた基盤が重要なので、一概には言えませんが、結局、自分を癒すのは自分だし、問題を解決するもの自分なんだと思いました。

「妊娠」についてのコミュニケーションを事前にとるべき

――働く女性の「妊娠」は、喜ばしいこととは限らないということでしょうか?

植村:その経験で私が学んだのは、女の人は、「妊娠する権利」「出産する権利」は絶対にある。でも、みんなが心から祝福してくれる状況は、事前に自分が獲得していかなきゃいけないということです。

妊娠したくてもできない人、思いがけないときに妊娠しちゃう人もいる。それは選べないんだけれど、今の自分はどうしていきたいのかは、周りに伝えておかなきゃいけない。人間同士なので、理解もできますし、思いがけない時期に妊娠しちゃったとしても「欲しいって言ってたもんね」と共感しあえるし、サポートできる。でも、いきなり「妊娠したので辞めます」では周りが困ってしまう。まずは自分がきちんと「妊娠の権利」と「コミュニケーションの義務」を考えて、自ら環境を整えれば、産後の仕事復帰もスムーズにいくのではないかと思います。

――女性スタッフをたくさん抱える経営者としてはどうですか?

植村:女性はどれだけ仕事を頑張りたいといっても、突然、妊娠する可能性はある。それは経営側から見れば「リスク」です。でも経営者側もそれを踏まえて、祝福できる環境を作っておく必要があります。

産む人が事前にコミュニケ―ションを取っておく。そして、受け止める側もいつでもそういうことが起こり得るという気持ちを持つ。お互いを思いやることが必要なんだと思います。

私の母はずっと専業主婦としてやってきたんですが、年齢を重ねて達観しているところがあって、よく相談するんです。その時も「共同経営者が妊娠したけれど素直に喜べない」と話したら、「子どもができるというのは世間ではおめでたいこと、それを喜べる人になりなさい」と言われたんです。人として、それが当たり前なんだと。

その後、共同経営者が二人目を妊娠したんです。そうなったら、いよいよ仕事には復帰しないだろうと思ったんですが、そのときは「おめでとう」と喜ぶことができました。

「経営者」と「女性」としての生き方

――ところで、もう一度、結婚したいと思いますか?

植村:もちろん。夫婦は、自分も癒してもらえるし、相手も癒すことができる最少単位。まずは夫婦、そして家族。そういう関係を自分自身が作りたいなという気持ちはあります。

――今後、出産をしたいと思いますか?

植村:子供は授かりものだからわかりませんが、できなかったとしても、それはそれで一つの生き方。二人で支え合っていければいいし、だからこそできることがたくさんある。日本ではなかなか難しいけれど、養子をもらうということもできる。自分の子孫が絶対とは思っていません。でも、子育てはしてみたいですね。子供がいなくても、社会をこれから担っていく人たちに関わっていきたい。やることはいっぱいあります。

――女性経営者は、妊娠・出産が難しいのでしょうか。

植村:そんなことはないと思う。もちろん私自身が事前にスタッフとコミュニケーションをとっていく必要があると思います。今は結婚していないので、急にそういうことはないけれど、いつか子供を産みたいと思っていることはみんな知っています。

それに、なんとかなるものだと思うんですよね、人生って。共同経営者が妊娠したときも、離婚したときも、お店がオープンして1か月で店長が辞めたときも、絶望だと思ったけれど、なんとかなった。だから、なんとかする自信はありますよ。

心で感じる「直観力」を信じてみては

――今後の展望は?

私の生きるミッションは、「キラキラ女性らしく、望めば出産も育児もできて、自分の夢、理想をかなえられる社会を作りたい」ということ。自己実現というと大げさだけど、毎日楽しく生きられることを、自由に選択していく社会を作ることに貢献していきたいと思っています。

それから、最近心がけているのは「直観力」を大切にすること。人は本来直観力があるはずなのに、これが鈍っていると思うんですよ。

私が離婚した後、母から「あなたはどんな人を好きなるの?」と聞かれたんですね。それまで私はアプローチされた人から、平均的にいいかなと思う人とお付き合いしていたんですが、「だからダメなんじゃない?」と言われました。100人いたらピンとくる人は、2、3人しかいないはず。それは選ばれるんじゃなくて、自分から選ぶ人。そうじゃないと幸せになれない。人間も動物なんだから、相手の良さは直観でわかるはず。それを鍛えなくちゃ、と言われてハッとしました。

デートしていても、どんな仕事をしているのか、どんな考えを持ってるのか、仕事脳でつい分析してしまう。本来は心で感じるものなのにね。もっと「楽しい」とか「ワクワク」する心を信じてもいいのかなと思います。仕事でもそういうものを追い求めていく方が、幸せになれるのかもしれないと考えています。

 

●植村絵里 南青山のクイックエステサロン「BeautiQ」代表。聖心女子大学卒業後、大手IT企業にて営業職を経験後、経済産業省後援の起業家育成支援プロジェクトにて、起業家スクールの新規事業の立ち上げ、士業と起業家とマッチングシステムの運営・企画に携わる。2009年大学生によるベビーシッターサービスを設立、2011年クイックエステ「BeautiQ」をオープン。来年よりハンドケア「WarmHands」事業を開始。「仕事・結婚・子育て」と役割が変化する世代の女性を対象に、女性本来の力に気づくことで、愛の溢れる社会作りに貢献することを目指す。オフィシャルブログ『美肌の教科書

(穂島秋桜)

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