12月5日に50歳の誕生日を迎えた作家・岩井志麻子さん

作家・岩井志麻子さん

12月5日に50歳の誕生日を迎えた作家・岩井志麻子さんが、生誕半世紀の記念にゴールデン街で一夜限りのバーを開店。「100歳まで生きて“枯れないエロばあさん”という新しいジャンルを目指す」と宣言する“志麻子ママ”に、自身のアラサー時代、そして人生の先輩として今のアラサー女子に伝えたいことを伺いました。

岡山の専業主婦は子育てに必死で焦りもなかった

――岩井さんの30歳前後のころはどんな感じでしたか。

岩井志麻子(以下、岩井):岡山で専業主婦だったんですよ。娘を25歳、息子を28歳で産んで、35歳で離婚したんですが、30歳の時は「お母ちゃん」だったんです。当時は子育てに必死でしたから、「こんなはずじゃなかった」だの、「もっと違う生き方があった」だの、そんなふうに思うことはまったくありませんでした。

子供を産んだら、もれなく「おばちゃん」であり、「○○ちゃんのお母さん」「○○くんとこのおばちゃん」って呼ばれるわけです。みんな20代でそう呼ばれるようになるんですよ。それが当たり前ですから、焦りもなく、こういうもんだと思ってたんですよね。

30歳前後の女性で、そんなに日々みんな苦悩しながら生きているとも思えないんですけど、そのくらいになるともう自分の生き方とか肯定しませんか。今が楽しいとか。「こんなはずじゃなかった」とか、「もっと違う道があったはず」とか、あんまり30代は考えないはずなんですけどね。よっぽどの事情がない限り。

あなたの失敗なんてたかが知れてる

――でも、いまのアラサー女性はいろいろ悩んでいるようなんですが。

岩井:それは選択肢が多すぎるからでしょうな。私も、ものすごい多くの中から選ぶのって苦手で、3種類とか5種類って決めてこられると楽ですわね。

まあ悩むのは当然なんですけど、こんなこと言ったらおばちゃん無責任みたいですけど、悩んでも悩まなくても、結果あんまり変わらないよ(笑)。そんな突拍子もない人生、あなたにないよ。フィジーの海で真珠養殖するとか、コロンビアでマフィアの情婦になるとか、とんでもないものってあなたにないでしょう? 選択肢はいっぱいあるけど、だいたい落ち着くところは見えてるやろが。

ほんまに悩んでも悩まなくても、おんなじなんですわ。だいたい。だったら、楽しく生きたほうがいいわよ。1回こっきりなんですから。あなたの失敗なんて、かく恥なんてたかが知れてる。だいたい、少々の「てへ」だったら、何かいいことやって評価されたら上書されますね。

――では、あまり悩む必要はないということですか。

岩井:ただ、子どもについては考えたほうがいいかもね。欲しいかどうか、自分に必要かどうか。結婚は80歳でもできます。でも、出産は限界があるので、50歳になって「本当は欲しかった。子供がいたら……」なんて言ったって、これはどうにもならんので。

寿命が伸びたって、50歳で30歳に見えようが、身体はそれ相応になっていくわけで。私、女は何が何でも子どもを産むべきとは言いません。いたほうがおもろいよ、いたら楽しいよ、っていうのはありますけど、強制するなんてことはしない。

私の周りに子どもいなくて仲のいい幸せな夫婦もいますし、逆に子どもができたばっかりにダメになった男女の仲もあるんですよね。できちゃった結婚したけど別れた夫婦なんていっぱいいますから。

もし自分に子どもがいなかったら、「いなくて気楽でいいじゃん」って言ってると思いますよ。どうしても自分を基準に語りますからね。もし本気で欲しくない人がいたら、それはそれでいいですよ。でも、こんなこと言ったら身も蓋もないですけど、なるようにしかならんのですよね。考えても考えなくても、ほんと結果ってほぼ変わらないです。

「いかに自分が若いか知れよ」と言いたい

――では、アラサーのうちにしておくべきことは何でしょうか。

岩井:30歳前後の人は「いかに自分が若いか知れよ」と言いたいですね。本当に年齢だけはどうにもならないですからね。いくら若作りして若く見えても、中身はそれ相応なものですからね。いま自分がどれだけ若いか、いま現在わからないかもしれないけど、50歳になったら、「ああ、あの時私若かったんだな」っていうのがわかりますから。

だから、若いうちにいろいろ体力勝負してほしい。私もいま思ってます。この先自分が何十年、私のことだから100歳まで生きると思いますけど(笑)、ハードな海外旅行とか、あとどのくらいできるだろうかと。インドとかエジプトとか、今のうちに行っとかなくっちゃ。時間はリミットがあることをわかってください。みんな平等に年を取りますから。

適齢期は人それぞれ。ちょっと遅くても挽回できる

――確かに実際、岡山の主婦だったときは、今のようになるとは想像されていなかったんですよね。

岩井:まったく夢にも思わなかったですよ。ただ、子供の頃、作家になりたい、本を書く人になりたいっていうのは夢見てました。で、叶いましたよね。だけど、テレビに出たいとか、そんなことはほんまに思わなかったんですよ。でも、出る人になっちゃったでしょ。つまり、思いもよらないこともあるし、願い続ければ叶うっていうのも、両方あるんですね。

小説デビューは21、2歳なんですが、そのころは全然売れなくて、本は出したけれど、その後が全く続かないっていう状態。コバルトシリーズだったんですけど、年1冊出すか、みたいな感じだったんです。

小説家として世間に認知されて、食えるようになったのって、35、6歳ですよ。テレビに出だしたのも40歳近くなってからなんですよね。小説家デビューもテレビデビューも遅いんですよ。だけど、別に遅くたっていいじゃない。「20歳で彗星のごとくデビュー」とかじゃないし、「若いうちからアイドルで引っ張りだこ」だったこともないけど、でも、いつの間にかレギュラー持ったりしてますから、ちょっと遅くても大丈夫。挽回できます。

逆に私、20代で小説売れてたり、20代でテレビで人気で、ちやほやされてたりしたら、いま飽きて辞めてるんじゃないかと思いますよ。

適齢期って人それぞれなんでしょうね。ただ、適齢期は人それぞれで多少ずれていてもOKなんですが、子どものことで後悔しないように、ここだけは悩んでください。

(編集部)

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