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2014/12/11
夫が別の家族の精子提供者になったら

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アラサーになると高齢出産が気になりますね。35歳から高齢出産ですから、出産カウントダウンを考える人もいるでしょう。独身の女性の中には「結婚はしなくていいけど、子供は欲しい」という人もいるようです。夫もいない、恋人もいない、でも子供がほしいとなると「精子提供で母になる」という選択もありますが、精子提供で親になることについては、倫理観も含め、様々な問題が考えられます。

映画『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』は、主人公のグザヴィエが精子を提供したことから、妻との関係がギクシャクし、別居してしまいます。現実にもありそう……というわけで、精子提供、精子バンクについて考えてみましょう。

シングルで精子提供を望む場合の問題点

子供が欲しい夫婦の不妊の原因が男性側にあった場合、第三者の精子で人工授精して子供を授かるケースは以前からありました。ただ、かつてはやむをえぬ事情だったことが、最近は「結婚願望ゼロだけど、子供はほしい」とか「同性愛者だから第三者の精子提供で子供を」といった願望も広がりを見せています。映画『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』でグザヴィエの精子をもらって妊娠した親友もレズビアンですからね。

ただ、精子提供によって生まれた子供と親の間で起こる問題が父親探し。これをテーマにした映画に『キッズ・オールライト』というのがありますが、これはレズビアンカップルの息子と娘が父を探しに行き、仲良くなることから始まる騒動を描いています。

子供が自分の父親を知りたいと思うのは当然の気持ちですが、現実は映画のようにはいかず、遺伝子上の父と会うことは、精子提供者は望まないようです。「子供の責任を取らされそうだ」「今の生活が壊れてしまう」と考える男性が多いとか。

レズビアンカップルなら夫婦同様に協力しあって子育てできますが、シングルの場合は、相当な覚悟が必要です。子供ほしさに「できる」と錯覚しがちですが、経済的な余裕、自身の健康、周囲のサポート体勢がないとやっていけません。今、問題になっている子供の貧困。食事を満足に取らせることができない、経済的な貧しさから満足な教育を受けさせられない……そうなってしまってからでは遅いのです。また父親がいない理由を、子供にどう説明するのか……という問題も出てきます。

夫や恋人が精子提供者だったら?

自分の夫や恋人が精子提供者だったら……という場合も問題が多いですね。映画『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』はまさに、その問題で夫婦仲に亀裂が入るからです。妻(あるいは恋人)としては、自分の夫と別な女性の間に精子提供をした子供が存在する……というのは気持ちの良いものではないのでは? 夫や恋人に「頼まれたんで、精子提供してもいい?」と聞かれて「いいよ」なんて軽くOKできる女性っているのでしょうか?

「子供ができなくてかわいそうじゃないか」と言われても、「なんでウチの彼なわけ?」とか思うだろうし「本当は好きなんじゃないの?」と勘繰ったり「もし情がうつったら」と心配したり、下手すると「父親なんだから面倒みてよ」と先方から言わる可能性だってあるわけですよ。クザヴィエの妻が不愉快になる気持ちもわかろうというものです。

今、個人の精子バンクも多く存在しますが、見知らぬ人の精子は病気があったら怖いとか、プロフィールもどこまで信用していいのやら……など不安だし、だからといって、家族兄弟の精子というのも気まずい思いをしそう。

本来、子供を授かることに第三者を介入させるべきものなのか……と考えはつきません。子供は親を選べませんから、生まれてくる子の幸福のためにも、そのときの欲望や感情で突っ走らず、母になったときの未来をちゃんとシミュレーションしてほしい。個人的には慎重になりすぎるくらいよく考えてほしいですね。

ニューヨークの巴里夫(パリジャン)
12月6日より、Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー

斎藤香

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