おひとりさまの老後には1,800万円必要

近年、生涯結婚をしない「おひとりさま女性」が増加しています。仕事や遊びなど自分だけの時間を楽しめる反面、ひとりで生きて行くからにはそれ相応の準備が必要なもの。具体的にどんなことに備えておけば良いのでしょうか。そこで、「おひとりさま女性」が直面しがちな3つのお悩みについて、生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんにアドバイスをいただきました。

>>【前編はコチラ】「結婚より子供を持つかを考えて」 生活経済ジャーナリストに聞いた、独身女性が30歳でするべきこと

その1 貯蓄

「自分の生活費はひとりで働いて稼がなくてはいけないので、病気のときの療養に備えて貯蓄を考えておきましょう。これは『おひとりさま女性』が30代で考えるべき一番大事なことだと言えます。また、老後の貯蓄もしっかりしておきたいですね。

ちなみに、老後はいつからかというと、65歳からと考えておくとよいでしょう。今の30代は65歳まで年金がもらえないからです。ちなみに、年金の価値も現在の8割ほどに減ってしまうと想定しておいた方がいいでしょう。そもそも、基本的に国に頼っている場合ではないんですね。企業年金がある人もいるかもしれませんが、このご時世、年金はお小遣いぐらいに考えておいたほうがいいかもしれません。

では、老後に最低限必要な資金の計算方法です。

【「老後の支出」-「老後の収入(年金)」=「老後に必要な資金」】

(注)老後を25年として、月当たりの支出を20万円と設定した場合、ト-タルで6,000万円が必要。厚生年金14万円を受給できると仮定すると老後の収入は25年間で4,200万円。そのため、老後の支出を月額20万円とした場合、必要な貯蓄額は6,000万円から4,200万円引いた1,800万円となる

貯蓄について漠然とした不安を持っている人は、まずこの計算をして、必要額を明確にし、しっかり対策をしていきましょう。

資産ができ、経済力がついてくると、心の安定につながるのは確かです。人生を『樹木』に例えるとすると、根っこが広く地面に張ることで安定感がもたらされますよね。揺らぎのない人生を生きるうえで、資産は樹の根っこにあたる大切なものなのです」

その2 病気

「30代の女性についていえば、婦人科系の病気が多くなりますね。公的な健康保険には高額療養費制度というものがあります。ひと月に一定額を超えた医療費を請求により取り戻せる制度で、例えば、1か月100万円の医療費がかかっても、実質8万円くらいの負担で済みます。

そうはいっても、最初は自分で負担して後から返金という仕組みですし、保険が適用されない治療や差額ベッド代がかかることもありますので、医療保険に入っておくのも一法です。30代なら保険料も2,000円から3,000円程度で入れるので、早いに越したことはないと思います」

その3 親の介護

「両親が健在であれば、どちらかが倒れたときはいずれかが看てくれる場合が多いので、手伝い程度で介護に携わることが多いですが、片親となった場合は子どもにも大きな負担がかかります。高齢期になると脳梗塞や癌などになる率が高くなるので、30代でも親の介護をしている人も少なくないです。

会社員は法律により介護休業という制度がありますが、常時介護が必要な状態にある家族1人につき1回、のべ93日です。しかし、介護は子育てと違っていつ終わるのか目途が立たず、長いケースだと10年くらいの介護生活になってしまうこともあります。

そうなったときに慌てないためにも、どこにいても、何歳になってもできる“仕事力”を身につけることが大切です。自己投資という意味で、余裕がある今のうちに資格などを取っておくことも有効ですが、それ以上に今の職場や置かれた環境でしっかり役に立っておくことが大切。仲間に信頼され、『この人でなければ』というポジションを確立しておくことで、何かあったときに、応援してもらえるようになるでしょう。今の仕事で評価される自分になっておくことが後々の道を切り開く近道だと思います」

    何かあったときのために準備を万全に

「おひとりさま」と呼ばれる女性は、自立した「個」として自由気ままに生きる姿をイメージされがちです。束縛はないものの、誰かを頼らずに自分の力だけで生活していく以上、自分の病気や親の介護など何かあったときの不安を、ひとりで受け止める覚悟も必要になります。ひとりで生きていくうえで想定される「壁」を難なく乗り越えるためにも、準備を万全にしておくに越したことはなさそうです。

●和泉昭子
生活経済ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後、出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。NHKを中心にニュース・情報番組を担当。95年CFP(R)(ファイナンシャル・プランナー上級資格)取得後、現職。 テレビ・ラジオのコメンテータ、新聞・雑誌・書籍の執筆監修を行う。株式会社プラチナ・コンシェルジュ代表取締役。

末吉陽子

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