元ホストはアナウンサー内定取消になる?

日テレの女子アナ候補生が、「銀座のクラブでバイトしていた」という理由で内定取り消しにあったニュースで、「職業差別だ」「いや、『水商売』は女子アナのイメージにそぐわない」など、様々な意見が飛び交っています。ここでは、『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)を執筆するにあたり、たくさんのホステス、キャバ嬢に取材した経験から、企業が「水商売経験者を積極採用するべき理由」を考えたいと思います。

1.「聞く力」がある

トップキャバ嬢やホステスたちを取材して感じたのは、とにかく皆、「聞く力」が素晴らしいということです。お店では、席についたわずか15分の間に、お客さんに気に入ってもらい、指名してもらう必要があります。ランキング上位のキャバ嬢は、数分の会話で、相手の嗜好を見抜きます。会話から、「こういう接客をすれば喜んでくれるだろう」と想像し、居心地の良い空間をつくるのです。この素晴らしい「聞く力」は、夜の仕事を一生懸命に頑張ったからこそ、磨かれたものです。

2.根気がある

夜の仕事は、人材の入れ替わりが非常に激しい世界です。お店では、2~3か月で燃え尽きて辞める子もしばしば。お客さんからのセクハラや暴言に遭っても、ニコニコしなければならない辛さや、仕事が終わっても続く「営業」の面倒臭さ、店によっては厳しいノルマ、自分に好意を寄せる「お客さんを騙しているのではないか」という罪悪感。女の子同士の関係に悩むこともあります。艱難辛苦を乗り越え、ランキングトップを維持するキャバ嬢たちは、そこらの学生より、よほど根気があります。基本的に真面目で、忍耐強いのも特徴です。

3.愛嬌がある

クラブやキャバクラで働く女性は、もともと「人と話すのが好き」なタイプが多いものです。その上、仕事を通して自然に「営業スマイル」が身についていきます。自分がニコニコしていると、お客さんも楽しい気分になってくれる。そういう瞬間はまさに、キャバ嬢冥利につきる……というわけで、愛嬌がある彼女たちは、企業に入っても明るく活躍してくれること間違いなしです。

4.度胸がある

「男は度胸、女は愛嬌」とも言われますが、愛嬌だけでやっていけるほど、実社会は甘くありません。昨今の男性管理職は、デキる女子にはどんどん活躍して欲しいと考えています。夜の仕事で一定の成果をあげた女子は、目標に「挑戦する、達成する」ことに喜びを感じるタイプが多いもの。未経験の仕事にも、果敢に取り組む「度胸」があるのです。

5.企業社会に対する、良い意味での「あきらめ」がある

夜の仕事では、様々なタイプの男性と出会います。お店で楽しく遊んでいるうちに、「女性差別は当然」と公言する男性もいますし、会社での肩書きは素晴らしくても、セクハラを繰り返すおじさんや、女の子に対して粗野な振る舞いをする若手社員など。

実社会では、そんな男性ばかりとは限りませんが、多くの企業は、まだまだ「男社会」です。希望に胸をふくらませて入社したものの、会社で何となく「女性を軽んじる風潮がある」ことに失望し、悩む女子もいることでしょう。が、夜の仕事を頑張った女子にとって、そんなことは問題ではありません。酸いも甘いも経験した彼女たちは、良い意味で、こうした差別的な現状を甘受し、したたかにサバイブしていきます。「環境はともかく、私なりのペースで頑張ろう」と、気持ちを切り替えるのも上手なのです。結果として、良い成績を上げることも多いのですね。

「女性の活躍推進」を謳うなら、「水商売経験者には清廉なイメージがない」なんて言わず、彼女たちのこうした能力を活かす方法を、考えられてはどうでしょうか。

北条かや

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