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2014/11/17
アラサー女子がすすめる「野宿の自由」

『バスに乗ってどこまでも』著者・かとうちあきさん

旅行はお金のかかる趣味とされていますが、もし格安で行けるとしたらどうでしょう。予算は1万円で移動手段は高速バス。そんな旅のスタイルを実現し、最新刊『バスに乗ってどこまでも』(双葉社)を上梓したのが旅ミニコミ誌『野宿野郎』の創刊編集長かとうちあきさん。現在も全国各地を野宿して歩くかとうさんに格安旅と野宿、そして自由を追求したライフスタイルの魅力について伺いました。

野宿の普及を目指して活動を続けるアラサー女子

――『バスに乗ってどこまでも』(以下、バスどこ)では高速バスと野宿を組み合わせた格安旅のスタイルを貫いていますが、なぜ野宿をするんですか?

かとうちあきさん(以下かとう):『バスどこ』企画の旅の予算が1万円だったので必然的に野宿だったというのもあるんですが、私が野宿好きというのもあるんです。寝袋ひとつ持っていろんなところへ放浪できるので、野宿をするような旅に憧れていたんです。それでミニコミ誌の『野宿野郎』を立ち上げました。

このミニコミ誌を双葉社の編集者であるYさんが読んでいたそうで、声をかけてもらって『増刊大衆』で連載することになったんです。連載なんですけど、本当に予算に厳密で1万円以上は絶対に使えなくて、いつもお腹がすいていたんですけどね。

――野宿を組み合わせた旅というのは誰にでも可能でしょうか?

かとう:誰でもできると思います。旅行にはお金がかかると思っている人が多いですが、お金をかけなくても十分楽しむことはできます。『バスどこ』でもふらっと高速バスに乗って日本各地に行く、そんなカジュアルな野宿をしてみようと思っていました。

誰にでもできる気楽な野宿を取り入れていこうということなんです。こう考えるようになったのは、野宿をしたい人と近所の公園で一泊したとき、それだけも十分に楽しかった経験がきっかけです。だから、お金をかけない気楽な趣味として野宿を楽しめると思うんです。

装備だって私は寝袋オンリーですけど、野宿をするときにテントを使う人もいます。「本人の思うスタイル」=「野宿」でいいと思うんです。極端かもしれませんけど、窓を開けた部屋で寝袋に入って寝るだけでも、その人が「野宿」と言うなら、それも「野宿」だって思います。野宿人口を拡大するためにも、細かいことは言っていられません(笑)。

――実際のところ野宿していると性犯罪などのリスクはありませんか?

かとう:よく聞かれるんですが、意外と危険な目にあったということがないんです。それでも危ないかどうかのポイントの見極めはありますよ。公園なんかでは、落書きがあるようなところは夜に若者たちがたむろする確率が高いとか。基本的には泊まろうと思うエリアで女性に事情を軽く話して探すようにしています。

具体的には駅舎、東屋、多目的トイレなんかに泊まることが多いです。ちなみに多目的トイレの使用にも“作法”があって、誰かがトントンってノックしてきたらすぐに出られるように荷物はまとめておいてひろげたりしないようにしています。あと、汚かったら掃除もするので野宿野郎が使ったあとはむしろ綺麗かも(笑)。

ハイヒールで野宿する落差が楽しい

――お金をかけない趣味が可能になるバス旅は体力が下降気味のアラサー女子にも有効ですか?

かとう:そういう女の人(アラサーで週5でバリバリ働いている人)こそ野宿旅が楽しめるって思うんですよ。普段はきっちりしている人が野宿するなんて落差が大きいじゃないですか。ハイヒールを履いて寝袋を持って野宿に行くような振れ幅を持てたら、毎日楽しいんじゃないかと思います。

これまで何度も野宿初体験の人と一緒に野宿をしましたが、男女でいえば女性のほうが断然楽しんでいますね。思い切って踏み出して最初のハードルを越えるようなことって女性のほうが得意なのかもしれませんね。

高速バスだって乗ってみれば全然イメージと違います。若い人だけじゃなくてシニア向けのプランなんかも充実していますから。私も使いやすいと思ったので、『バスどこ』の連載が終わってからも青森や秋田に高速バスで行きましたよ。

――野宿で得られるものって何ですか?

かとう:いろんなところで野宿しましたけど、いまでは旅先で「早く寝たい」って思うようになっています。お金をかけて温泉旅行をしても「お金払っている分は頑張って楽しまなきゃ」って思ってしまって(笑)。

温泉に一泊するのなら一野宿のほうが気楽。「寝るのはどこでもよかったんだ」って心が自由になるんです。それに野宿みたいな非日常的な経験をすると、自分の価値観に合わないような人へも大らかに接することができるんです。

――野宿女子として今後どこまでいくのか、展望を教えて下さい。あと、ミニコミ誌『野宿野郎』の次号の予定についても。

かとう:『野宿野郎』は、作り方を忘れちゃったんで……未定ですね(笑)。展望はいろいろと考えています。自分が結婚していたほうが、結婚後も野宿もできるんだって、野宿未経験の女の人もやりたくなるんじゃないかとか、子どもと一緒に野宿ができたらまた違った感じになって楽しそうだなあ、とか思うんですけど、かといって結婚したいわけじゃないんですけどね(笑)。

野宿の普及はまだこれからです。このまま10年、20年と続けていったら、初めて「野宿してても大丈夫なんだ」って人にも安心されると思うんです。だから続けていきたいですね。

(※編集部より 野宿に危険性が伴うこともあり得ますので、くれぐれも注意して、自己責任でお願いします。)

丸山ゴンザレス

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