阿部祐二

安倍総理が今年11月22日(いい夫婦の日)にFacebookに書き込んだ、「家庭の幸福は、妻への降伏」というポスト。今年を振り返ってみると、安倍総理しかり、妻に頭の上がらない半沢直樹しかり、いわゆる“恐妻家”が活躍した年だったといえるのではないでしょうか。

一般的な恐妻家のイメージといえば、「気の強い妻に従う、気の弱い夫」というもの。なのに社会的に成功する実力者が多いのはなぜなのか? 夫婦の力関係やその成り立ちなど、恐妻家の第一人者である人気リポーターの阿部祐二さんにインタビューしてきました。

「妻が恐くて夫が弱い」だけではうまくいかないケースが多い

――恐妻家って今、増えているんですか?

阿部祐二さん(以下、阿部):うーん、意味合いによってですよね。「男が一家の主だ!」という亭主関白がフツーだった昔と比べたら、増えていると思います。

今の男性は、全体的に10歳くらい精神年齢が若いような気がするんです。甘やかされて、いまだに親の力だけで生きているような男性もいっぱいいるんですよ。だから、自分では何も決められず、女性に従っていく。そういうタイプの夫婦は増えているんじゃないかな。

――そういう夫婦って、うまくいくのでしょうか?

阿部:いや。このタイプだと、女性側が自分の言うこと聞くような男性をつかまえているというだけなので。男側にそれを受け入れられるだけの器があればいいんですけど、妻がリーダーシップをとることに対して不満を持ってしまい、うまくいかないケースも多い。その不満を表面上は出さない打算的な男性もいますけどね。ただそれは、「ガマンしとけば自分が楽になるから」っていうだけなので、見ていてあんまり気持ちよくないですよね。

真の恐妻家は、妻を”泳がす”

――阿部さんのお話を聞いていると、いろんなタイプの恐妻家がいるということでしょうか?

阿部:僕は、3パターンあると思っていて。ひとつは、さっき言ったように、決められない男性を女性が引っ張っていくパターンね。もうひとつは、妻が夫を、無理して恐怖でおさえつけてしまうパターン。最後に、ウチのように家のマネジメントをちゃんとやる、という意味で、自然と家庭内で権力を握る妻と、それを受け入れている夫、というパターン。僕が見ていていい夫婦だなと思うのは、この最後のパターンが多いんじゃないかな。

――妻がコワイから、夫が従っているんじゃないんですか?

阿部:よく、TVで恐妻家の人が出てくる番組がありますよね。あれでネタにされている「妻がコワイ」っていうのは、面白おかしくしているだけで、実際にあのままの関係性だったら成り立たないんですよ。彼らの場合は実は、夫が妻を泳がしているんです。泳がしているうちに、恐妻になっていくわけですよ。そういう家庭では、妻が好きなように振舞っているように見えるのですが、実は夫側の計算の上なんです。

――どういう計算なんですか?

阿部:妻を気分よくさせたほうが、家庭ってうまく機能するんですよ。女性のほうが家にいる時間が長いでしょ。だから女性が権力を持って仕切るほうが自然なんです。たまに帰る男がエラそうにしていたら、家庭生活ってうまくいかないと思いませんか? 夫はおさえるところをおさえるだけでいいんです。

良い恐妻が、良い恐妻家を育てる?

――でも、「妻の行動を受け入れる」のが難しいと感じる男性も多そうですね。

阿部:うん。結構難しいんですよ。

――そういった自然と妻を受け入れられるような男性って、どういう特徴があるんですか?

阿部:ある程度、社会に鍛えられている男性ですね。なにかに燃えているとか、社会的になにかしら成し遂げた男性じゃないと、女性のことを受け入れるのは難しいんですよ。受け入れきれずに自分が爆発してしまえば、恐妻家にはなれないから。

――じゃあ、付き合っている男性を、女性が恐妻家に育てることはできますか?

阿部:叱咤激励して、その男性にイッパシになってもらうしかないですね。最初はそうじゃなくても、苦労してなにかで認められるようになることで、その男性が変化するかもしれない。

――叱咤激励というと、女性は男性の仕事にアドバイスしたほうがいいんですか?

阿部
:ウチの妻は、イチイチうるさいところはあるけれども、一番大事なところは放任ですから。仕事に関しては一切口を出さない。いつ家を出ようが、いつ帰ろうが、何も言わない。まったく好きなようにやらせてもらってますね。

けど、ときどき「コレはこうだったね」とかは言う。見てないようで見ているというか。結構スルドイところをついてくるんで、参考にしてます。TVでやっているように、コケにするんじゃなくてね。よくなるように、ダメなところを言ってあげる。

阿部祐二

「女性を立てる」のが男の義務!

――逆に阿部さんが奥様のダメなところを言うことは?

阿部:いや、それはダメなの(即答)。いくら自分に厳しくてもいいけど、他人に厳しいのはダメ。とくに女性にはね。これはね、話してきたことと矛盾するかもしれないけど、基本的には、僕はやっぱり「女性は男が守らなきゃいけない」と思ってるんです。「弱い人」だと思ってるんです、ある意味。

だからこそ、自分が前面に出ないで、おさえるところはおさえて、女性が自由にできるように持っていく。それが男の義務だと思ってる。本気で妻と張り合ったら負けないんですよ。

でも、出産や子育ても、やっぱり女性に気持ちよく、女性が思う通りにやってもらいたいから。いつも子どもと接している時間が僕より長いんで。そのほうが、子どもにもいい影響を与えますよね。

――なんだか、すごく恐妻になりたくなってきたんですが…! 独身女性が恐妻を目指す場合、どんな男性を選んだらいいですか?

阿部:今、あなたたち女性が結婚して幸せになれる男性は、決して多くはないと僕は思うんですよ。自分の楽しみには一生懸命になれるんだけど、相手を楽しく、気持よくさせるってことに関しては、苦手な男性が多いんじゃないかな。だからどうしても、“女性を受け入れる”のが難しい。

恐妻になれるかどうかは、基本的に相手の男性が持っている女性に対する考え方次第。大体付き合ってると、その辺の感覚がわかってくるじゃないですか。だから、焦らずに、しっかりと選定してください。

(文・取材=編集部)