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2014/11/06

「リベンジポルノ対策法案」の規制の範囲

恋人との別れはすんなりいかないことは多々ありますが、こじれた腹いせに交際当時のプライベート写真・動画をインターネットに流出する「リベンジポルノ」が、ソーシャルメディアの発達にともなって問題視されています。

それを規制するため、自民党は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律案(リベンジポルノ対策法案)」を今国会に提出する見込みです。この法案では、同意のない「性的画像の流布」が規制されますが、そもそも「性的画像」とは、どこからどこまでが対象になるのでしょうか。

また、現在の法律ではどのようにリベンジポルノに対応しているのか、IT問題に詳しい日本リーディング法律事務所の野口明男弁護士に、具体的な状況で考えられる可能性を伺いました。

    どこまでが範囲? 水着写真拡散は罪になるのか

CASE1
「元カレと行ったビーチリゾートで、大胆なビキニを着ている写真を流された」

「どのような画像が規制の対象となる『私事性的画像記録』かは、今後、国会審議等で議論されることになり、最終的には法律の成立を待つ必要がありますが、現時点での法案の内容に照らすと、問題となってくるのは“衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの”の部分です。水着はそもそも、水着だけで一種の衣服として認識されているものですから、「衣服の全部か一部を着けない姿態」には当たらず、対象外となります。なお、法案の内容からすると、性行為はもちろんですが、性行為に類似した姿態の画像も対象となります」(野口明男弁護士)


CASE2

「下着のままベッドで寝ている写真を流出された」

「法案作成に携わる自民党の平沢勝栄議員によると、下着姿の画像やベッドの横に一緒にいるような画像は規制対象ではないとコメントされています。将来的に法改正で規制が厳しくなる可能性はありますが、当面は裸の画像のみが規制対象とされることになりそうです」(野口弁護士)

CASE3
「AV女優の顔に、私の顔を貼りつけた、アイコラセックス画像を流された」

「日常のスナップ写真等を切り取って、既存の裸の画像とつなぎ合わせるコラージュ画像は、『プライベートで内密な写真』を用いるものではないので、リベンジポルノ対策法の本来の趣旨から外れ、この法律で規制するのは難しいでしょう。このようなコラージュ画像は、名誉毀損、著作権の侵害、わいせつ電磁的記録頒布の禁止など、既存の法律で対応することになるだろうと思います」(野口弁護士)

    プロバイダが画像削除する期間が7日から2日に短縮

――法案では“被害者が削除申請をして、画像発信者から返事がない場合、プロバイダが2日後に削除可能”とのことですが、どのくらいの効果が期待できるのでしょうか。

野口明男弁護士(以下、野口):これまでは削除までに要する7日間のあいだに、アップロードされた画像が転載に転載を重ねて拡散し、被害が拡大して元の画像を削除しても、もはや被害回復が不可能となってしまうという問題がありました。削除までの期間を2日に短縮して早期に画像を削除することにより、転載等の被害が相当程度減少するだろうと思われます。ただし、特にインターネットでは掲載した直後のタイミングがもっとも反応が大きいこともあり、削除までの2日間における転載等の被害を完全になくすことは難しいと思います。

    現在、適用できる法律と、リベンジポルノ対策法案の意味

――リベンジポルノへの対処は、「名誉毀損」「著作権の侵害」「わいせつ電磁的記録頒布の禁止」など、現在ある法律でもカバーできるのではないでしょうか。

野口:それに加えて少年少女では児童ポルノ処罰法が適用されます。リベンジポルノは、名誉毀損等の既存の法律によっても、ある程度の対処が可能です。ただ、対処が可能であるというだけで、既存の法律では“リベンジポルノが犯罪である”と明確に定められているわけではないんですね。だから“リベンジポルノ”という行為を1つの犯罪類型として定め、国民にしっかり示しておくことは、犯罪の抑止につながる効果があるだろうと考えられます。

    1サイト削除に3~5万円! 海外の掲示板で拡散されると厄介なことに

――現在、こういった相談はあるんでしょうか。

野口:頻繁にあります。統計はとっていませんが、以前よりも増えつつありますね。最近では、海外のサイト、特に中国やアメリカのサイトに書き込みをされる、というご相談が増加しました。

――弁護士さんにご相談する手数料についてはどのくらいを目安にしたらよいでしょうか。

野口:弁護士に相談して対処する場合、サイトを消す作業とグーグル等の検索結果から削除する作業がメインになります。手数料は対象サイトの数がいくつあるのかで変わってくることになり、当事務所では1サイト削除につき3~5万円と料金設定をしていますが、金額は削除の難易度や要する手間により異なります。例えば、海外サイトの削除となると翻訳業務が必要となる場合が多いため、日本国内のサイトに比べて割高になります。

――費用面も考えて、なるべく早くご相談したほうがよさそうですね。

野口:特に掲示板に画像が掲載された場合には、コピーサイトがたくさん作成されてしまう場合があり、対象サイトの数が増加して削除費用も高額となってしまうリスクがあるので、なるべく早く手を打った方が良いでしょう。ウェブサイトの管理者等に対する削除請求は、弁護士が行うのでなければ違法となることがありますので、気が付いたらすぐに弁護士へご相談ください。

●取材協力:日本リーディング法律事務所

(編集部)

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