『ドクターX』に見る“女性外科医”の実態

外科医の世界を描いたドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の視聴率が毎回20%越えを続けている。人気の理由はなんといっても米倉涼子が演じる外科医大門未知子の魅力だ。「私、失敗しないんで」が決め台詞の凄腕の外科医だが、白衣の下はミニスカートにルブタンのハイヒールでいわゆる優等生なキャラクターではない。ドラマの中で大門未知子が支持を受ける一方で、現実世界の外科の女医は少ない。だが、その外科医も「女性にとっていい仕事」という意見も出てきている。大門未知子はリアルで誕生するのか。医療ジャーナリスト、現役外科医、医学部関係者などに取材してみた。

外科は典型的な3K仕事、技術力や勤勉さで評価が決まる

まず、女性の外科医にはどんな人が多いのか。医療ジャーナリストに訊いてみた。

「医者にはカーストがあり、外科や内科はメジャー、皮膚科や精神科はマイナーみたいな意識で、外科はやはりカーストの最上位に君臨します。しかし、カーストが高いからという理由で外科にくる女医はまず続かないですよ。外科は典型的な3K(キツイ、汚い、キケン)な仕事でもあり、30代の男の先生でも『オペ中に寝ちゃうんだ』とこぼすぐらい過酷です。男性は外科医だとモテるし満たされますが、女性はそうはいかない。ですから外科でキャリアを積める女医は性格的に外科しかできない人も多いんです。『ドクターX』の大門未知子が妙にリアリティーがあるのは、ああいうキャラクターは外科医に割と多いからです。白か黒かをハッキリさせないと気がすまなくて、ズバズバ意見を言っちゃう。外科医は技術力や勤勉さで評価が決まるので、媚びスキル欠如の残念女子でも仕事をこなせるならば排除されません」

現実には術後管理も外科医の大切な仕事なので休む暇はない

医学部で女子学生が増えているが、今後は外科でも女性が増えていくのだろうか。大学の医学部関係者に訊いてみると、こう答えた。

「無理でしょうね。今、お勉強ができる女子高校生たちは“出産後も仕事を続けたいから手に職をつけたい”という理由で医学部に入ってくるので、そんな人たちが外科にくるわけがない。大門未知子は手術をしたらそれっきりですが、現実には術後管理も外科医の大切な仕事なので休む暇はないですよ。兄弟の結婚式に出るために半年前から調整してようやく休みを取るような感じです。また、訴訟のリスクもあり、典型的な3K仕事です。でも、学生のうちから“出産後も仕事を続けたい”という理由で、仕事の選択の幅を狭めるのはもったいない。だいたい、将来出産できるかなんて分からないでしょう。“子育てとキャリアの両立が一番上”というマウンティング女子的な発想を捨てて、“やりがいがあって面白い仕事がしたい”と考えるなら外科医は最高の仕事です。経験を積めばどんどん向上していけますし、ダイレクトに感謝される仕事ですからね」

医療の現場自体は女性スタッフが大半で女社会

だが、男性ばかりの外科医の世界で、女性であることが不利になることはないのか。30代の女性外科医はいう。

「外科は男社会とみられがちですが、医療の現場自体は女性スタッフが大半で女社会です。女性たちとうまくやれるかが重要で、女医はその点有利です。男性医師が女性看護師と親しくなると色恋沙汰になる危険もありますが、女医はその点平気ですからね。看護師の中には“女医の方が気さくで仕事がしやすい”と感じる人も少なくないようですし、もっと外科に女医は増えてもらいたいですね。手術もロボットの導入などで機械化が進み、手術時間も短縮化されていくので、体力面での負担も減っていくでしょう。現状は女が執刀医だと患者さんが不安がることもあるんですが、女で外科医になる人はモチベーションが高いので信頼してもらいたいですし、そのために努力もしていきたいです」

リアルの外科の女医たちの頑張りが、ドラマ『ドクターX』に説得力を与えているのかもしれない。

(木原友見)

この記事を読んだ人は答えてね!
人が回答しています