いま熱い「女子プロ野球」を盛り上げる女性

今年のプロ野球は巨人とソフトバンクが優勝。そして今、日本シリーズの真っ最中だが、女子のプロ野球リーグがあることをご存じだろうか。2010年からスタートし、最近では明治神宮球場でも試合を行うほどの規模になっている。

実際に試合に足を運んでみると、球場の客席にはチームのユニフォームを着た応援団やファンなどが客席を埋めていた。編集部が観戦したこの日は、試合の合間にHIPHOPアーティスト・LGRookeesの特別ライブが行われたり、勝利したチームがダンスを踊ったりと、スタジアムはまるでお祭り会場だった。

女子が野球をやっているという新鮮さと相まって、その、単なるスポーツとは思えない大きな盛り上がりが気になり、女子プロ野球の運営・企画を担当している益田詩歩さんにお話を伺った。益田さんは現在、運営スタッフの中心に立って観客動員のための企画、営業から、グランドに立って試合合間のMCまでこなす。音楽マネジメント会社Buzzicと連動して、スタジアムでの野球と音楽のコラボレーションなど女子プロ野球を盛り上げるために日々奮闘している。

本気で読売巨人軍に入団を目指した高校時代

――益田さんは去年まで現役選手をされていたと伺いました。野球歴を教えていただけますか。

益田詩歩さん(以下、益田):ずっとプロ野球選手に憧れながら、小学、中学と、地元で男子と混ざって野球をしてきて、高校で女子野球部がある埼玉栄高校に野球留学をしました。読売巨人軍に入りたいと本気で考えていたんですが、女子は試合に出られないということにその頃やっと気づきまして(笑)。

――その頃は女子プロ野球リーグが発足していなかったから、女子でプロ野球選手というのはあり得なかったわけですよね。

益田:そうですね。大学でも野球を続けていたんですが、プロ野球選手になれないことから、プロとしてやっていける他のスポーツに切り替えたいと思っていました。そんなある時、父がゴルフを勧めてくれたのでゴルフに転向したんです。そして、プロを目指し、オーストラリアに渡ってゴルフを1年ほどしていた2009年夏、日本で女子プロ野球が設立されるニュースをネットで見つけ、すぐに機構事務所へ電話をしました。その後、帰国してトライアウトに合格し、去年まで4年間、選手としてプレイしてきました。

女子プロ野球をなんとかしたい一心で決断

――選手からスタッフになったのはどのような経緯だったのでしょうか。

益田:2013年の秋、女子プロ野球の組織会議に呼ばれたんです。幹部やスタッフが全員いる中で、会議の雰囲気で「選手だった私に求められているもの」を感じました。プロ野球選手になるのが夢でしたが、選手としてリーグを盛り上げられるほどの成績を残せなかった。女子プロ野球のために私ができることはスタッフとして支えることだと、その時ピンときたんです。

――運営側も益田さんを必要としていたんですね。

益田:私は、「これだ」と思うと突っ走るタイプなので、今後の女子プロ野球をたくさんの人に認知してもらい、応援してもらえるようになるためには、今ある野球の常識を常識だと思わずに「こうしたほうがいい!」と変えていく人間が求められている気がしました。私は、リーグ創設のメンバーですし、選手の立場で物事が考えられる。選手からスタッフになり、女子プロ野球を発展させるというキャリアの人はそれまでいなかったですし、女子プロ野球に貢献したい一心で決断したつもりです。

女子プロ野球をひとつのエンターテインメントにしたい

いま熱い「女子プロ野球」を盛り上げる女性

――男子のプロ野球との違いについてはどうお考えでしょうか。

益田:比べるものではないですが、すべてのスポーツにおいて、そもそも女子が男子にスピードやパワーで勝つことは難しいですよね。魅力は何かと聞かれたら、それは、「彼女たちの表情やプレイに対するひたむきさ」です。選手出身でもありますし、たくさんの方々に「彼女たちのとにかく野球が大好きだ!」という部分をお伝えしたいです。「所詮、女がする野球」という見方ではなくて、選手たちの野球への夢や情熱をプレイを通じて、いかに魅せられるかが大切だと思っています。

――先日の神宮球場でのイベントではアーティストとのコラボもありましたが、今の取り組みで一番意識していることはなんでしょうか。

益田:単に男子と比較される野球を運営するのではなく、女子プロ野球をひとつのエンターテインメントにしたいんです。まだ女子プロ野球は始まったばかりです。だから、「これ」と形容されるものはありません。何かのマネではなく、女子プロ野球独自の世界観やエンターテインメントを創り出せるよう、常に企画を考えています。ですので、今回、音楽でコラボしませんかと声をかけてくださったBuzzicさんには本当に感謝しています。

私一人でできることには、限りがあります。たくさんの方々の協力を得ながら、大きなものを一緒に作り上げていくことで、言葉に表せないほどのやりがいと次へのモチベーションの高まりを感じます。まだまだやりたいことがたくさんあるので、もっと貪欲に女子プロ野球選手たちのステージであるスタジアムを盛り上げたいですね。

チャレンジしてダメだったら、次いけばいい

――現在は選手を育成するマネジメント方面には関わっていないそうですが、もしできるとしたらどんなことをやりたいですか?

益田:トレーニングの面もそうですが、選手のタレント性を育てたいという気持ちが強いです。選手たちは本当に個性にあふれているので、それぞれの良さをどんどん引き出したいな、と思います。女子としての魅力やアスリートとしての魅力など、人それぞれ魅力が違いますから見せ方も違います。特に女子スポーツにおいて、選手としてだけなく、キャラクターとしても良い所をアピールすることが大事だと思います。

――新しいことへの挑戦や、何か大きな決断をする女性に向けてアドバイスはありますか。

益田:私は、常に流れを感じて生きてきました。ゴルフに転向した時も、オーストラリアで女子プロ野球創立のニュースを見た時もそうです。「あ、いい流れがきてるな」と思ったら、すぐにその流れに乗る。もちろん、どのタイミングもとても勇気がいることでしたし、女子プロ野球にチャレンジするときも、ゴルフをやめて帰国しなければならない、という覚悟が必要でした。

でも、そのタイミングを逃さずにチャレンジしたから、今の自分があります。だから、自分を信じて、「流れが来た」、「チャンスだ」と思ったら、まず動いてください。チャレンジする、動くことで次のヒントが必ず見えてきます。失敗することもありますが、失敗からも得るものもありますし、糧にもなる。「チャレンジして、ダメだったら、次いけばいい」くらいに思ってください。

女子プロ野球公式ホームページ

(編集部)

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