女集団を管理する極意は「女の裏社会」

『女子の人間関係』著者・水島広子さん

>>【前編はコチラ】女の争いは「男社会」が原因! 『女子の人間関係』著者に聞く、女同士の“マウンティング”から抜け出す方法

前編では、「『女子の人間関係』」著者であり精神科医の水島広子さんに、いやな女の特徴“かっこつきの「女」”は、どういうものなのか、どう対処すればよいか具体的に説明していただいた。後編では、集団の「女」たちをどうマネジメントするか、母と娘の問題、「おせっかい」と「人助け」の領域の違いを伺う。

女集団を管理するには、「女の序列」は乱さないこと

――話は変わりますが、部下が全員女性という男性の苦労話を耳にすることがあります。いつでも全員を平等に扱っていないと大変なことになると(笑)。

水島広子さん(以下、水島):この間、小学5年生の担任用の原稿を書いたんですが、その現象はすでに小学生からあります。若くてわりとイケメンの先生が担任になると、「先生わたしを見て!」とアピールがすごいんです。ところがその先生が、いじめられてポツンとしている子を見つけたときに、その子に余計に声をかけたりすると、それまで慕っていた女生徒が全員後ろを向くんですって。

――それは会社内でも発生しそうな事態ですね。どうしてもひとりの部下をケアしなければならないとき、その他全員にそっぽを向かれたのでは仕事にならない。そういう場合は、どうしたらいいのでしょう?

水島:さきほども話に出た女の「裏社会」を活用するんです(笑)。女の「裏社会」も、序列を崩しちゃいけないんですよ。任侠的なところがあって、なにかを頼むときには、必ずこの人を通さなければいけないとか。誰かを紹介してもらったら、その人には必ず紹介してくれた人を通じて連絡をして、決して直接連絡を取ってはならないとか。ルールがあるんです。だから小学生の場合も、「君たちを見込んでの頼みなんだ。あの子がいつも一人でポツンとしているから声をかけてやってくれないか」と、「裏社会」を仕切っている子たちに頼めばいいんですね。

「親切」と「おしつけ」の違い、“お姉さん病”の予防の仕方

――ところで、日本の社会は「空気を読む」ことを重要視しますよね。でもそれは、この本にも書かれている「相手の領域に踏み込んで関与する」という「女」度の高い人がしがちな「お母さん/お姉さん病」的な行動と同じであって、そこからこの社会の息苦しさが生まれているのだと思いました。一方で、やはり空気を読まないと組織なり社会なりが回っていかないという場面があることも確かです。その境目はどのあたりにあると考えれば良いのでしょうか。

水島:相手の個人的な領域を侵害するのは問題だけれども、チームで仕事を進めている中で、共通の目的が見えていないのは、本当に空気の読めない発達障害系の人だと思う。

「お母さん病」「お姉さん病」の人がやってしまうことは、「相手のことは自分がいちばんよくわかっている」と思い込んで、相手個人の領域内に勝手に踏み込んでいくことです。「相手のことを思って」といいながら執拗に繰り出される、「オススメ癖」「押しつけ癖」がそのいちばんわかりやすい例ですね。

――それを逆の立場からいうと、人の相談に乗ったりアドバイスをしたりということが、「領域侵犯」にならないよう気をつけることが大事ですね。

水島:私は家族と治療費をいただいている患者さん以外は、相談にのらないと決めています。だから友達が相談してきても、「大変だね」で終わっちゃいます(笑)。

――ついつい「助けてあげたい」と思ってしまうときはどうしたらいいのでしょうか。

水島:それは、どこまで責任をとれるかの判断なんです。私も、目の見えない方がいらっしゃったら改札までお連れしたりしますが、それはそこまでは自分が責任を取れるとわかっているから。自分が急いでいるときに親切をして遅刻したら、それは明らかに自分の責任以上のことをやってしまって、いろんな人に迷惑をかけることになるわけですよね。だから、夜中に「手首切ったの」と女友達から言われるたびに飛んでいく男性もいるみたいなんですけど、相手の人生をすべて請け負えると思えば行ってもいいと思いますが、自分がそこまで責任をとれないなら、「救急車を呼んで」と言ったらいいと思います。

――アドバイスをして、それを聞いてくれないと逆に腹が立ったりもしますからね。

水島:アドバイスっていうのは、相手の現状否定なので傷つけるものなんです。でもたとえば、相手が「ここまでの道順」のような情報を求めているときに教えてあげるのは、現状否定ではありません。私も情報提供はするけれど、アドバイスはしない。情報提供の場合は、その情報を相手が役立てなくても頭に来ないですよね。

親離れ・子離れできていない「里帰り出産」のデメリット

――「情報」といえば、「里帰り出産」をすると、母親の持っている情報なり知識が古く、娘の方は新しいというギャップのせいでモメることがありますね。

水島:そもそも個人間の線が引けないような親子だったら、里帰り出産なんかしないほうがいい。私は里帰り出産反対派なんです(笑)。だって子どもと父親との関係が希薄になるじゃないですか。夫婦で最初から一緒に子供を育てるというのはとても大切なんです。

いずれにせよ、「里帰り出産」でいがみ合ってしまうようでは、「親離れ・子離れ」はできてないということです。子離れできていれば、赤ちゃんのお母さんは娘だから、娘が子育てをする。でも娘が「昔はどうだったの?」と聞いていたら答えてあげる。というくらいの秩序ができ上がるはずです。そうでなければ、里帰り出産は地獄じゃないですかね。里帰りしなくて、近くに住んでいるだけでも大変ですよ(笑)。

――お話をうかがっていますと、「女子の人間関係」を円滑にする奥義というのは、実はこの社会そのものの風通しを良くしてゆくためのコツでもあるんだということが改めてよくわかりました。これからは男子の私もキモに銘じていこうと思います。

(川本ケン)

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