大企業で働く女性の「仕事と子育て」の葛藤

「『育休世代』のジレンマ」著者の中野円佳さん

希望した職種に就き、やりがいのある仕事に邁進する“バリキャリ”の女性。仕事に生きがいを感じる女性が、20代後半で直面することの一つが「子供をどうするか」という問題。
子供を持たない選択をする人もいれば、出産・子育てをしながら自分のキャリア形成を行いたいと考える女性もいるでしょう。

では実際に、高学歴で大企業に就職、社会の一線で活躍した女性は、出産し、育児休暇を取得した後、どのようなライフコースを歩んでいるのでしょうか。

女性活用と言われても……。バリキャリ女性の意欲を低下させる原因は?

中野円佳著「『育休世代』のジレンマ」(光文社新書)では、就職、結婚、出産を経験した15人の女性が出産を契機にその後、どのような経緯をたどったのか、またその時の気持ちを丹念に追っています。

著者、中野円佳さんを迎え「男女で考える仕事とケアの未来」と題されたワークショップが10月4日、フューチャーワークスタジオ“Sew(ソウ)”で行われました。

ワークショップの参加者は、学生、子育てしながら働く女性、管理職の男性など様々。まず日本の社会の中で、主に女性の働く意欲が「冷却」されるポイントをグループで話し合いました。「冷却」というのは、働く意欲などを減少させる外部からの影響です。

出産だけなく、就職する段階から総合職か一般職か、「男並み」に働き社会で活躍するか、女性の働きやすさを重視するか。その中で、結婚・出産はどのように選択するのか。それぞれの岐路で、本来の意欲よりも何かを諦めなくてはならないとしたら、そうさせるものは何なのか。
「冷却」の反対に、「加熱」されすぎることの問題はあるか。ワークショップでは、「会社の体制」「専業主婦だった母親の存在」「社会通念」「夫の協力」など様々な意見が飛び出しました。

また、男女ではなく子育てなどの責任を負っているかどうかで「ケア責任あり」「ケア責任なし」にわけ、安倍内閣が掲げる「2020年までに指導的地位に就く女性30%の目標」を設定し直すとしたら、どんな目標設定にして、どのように達成するのがいいかも議論。ケア責任に関しては今後、育児だけでなく、介護の問題も出てくるという声も出ました。

大企業で働く女性の「仕事と子育て」の葛藤

男中心の大企業で、「母」として働くことの葛藤

本書「『育休世代』のジレンマ」の中で述べられている“育休世代”とは「育休制度が定着した2000年以降に就職、出産を経験した世代」のこと。

1999年、男女雇用機会均等法が改正され、雇用・昇進などの面で男女差別の撤廃が禁止規定に。育児・介護休業法は2009年に改正され翌年施行、2012年には従業員数100人以下の中小企業にも適用になりました。

法律上、制度が整ったと言われている中で就職をした“育休世代”だが、出産を機に退職、出産後も以前の仕事を継続、将来辞める可能性を感じながら現状継続しているケースなど、なぜその結論に至ったのか、会社の評価体制、保育園問題、社会通念、教育、ジェンダー意識など様々な角度から検証しています。

期待できない夫の育児参加。「育児はこうあるべき」という母親を縛る意識。男女平等の教育を受けて来たため、「男並み」に働けなくなったら退職を決める女性。後方支援や事務など、社会のジェンダー秩序を受け入れて会社に残る女性。

それぞれが、自らの決断の中で、どのような葛藤を抱いたのか。浮かびあがってくるのは、周囲の無言の圧力の中で“自分で納得して選択している”と周囲に思われることの悔しさです。

女性活用は少子化著しい日本の生命線と言われていますが、本来、日本の女性が歓迎すべき「指導的地位に就く女性30%」という目標値に対し、反論が多いと報道されています。

それぞれの立場の女性が、葛藤を抱えることなく、社会で活躍するには、どうすればよいのか。簡単に答えの出ない問題ですが、この本をきっかけに、考えてみてはいかがでしょうか。

(編集部)

この記事を読んだ人は答えてね!
人が回答しています