JK産業で働く少女たちの孤独とSOS

>>【前編はコチラ】JK産業は「人身取引」 女子高生サポートセンター代表が語る、少女が商品化される裏社会の実態とは

女子高生たちが商品化され、JK産業という危険な仕事に足を踏み入れている。彼女たちを救うためにはどうすればいいのか、8月7日に著書『女子高生の裏社会「関係性の貧困」に生きる少女たち』(光文社新書)を出版した、女子高生サポートセンターColabo代表・仁藤夢乃さんにお話をうかがった。

昔の裏オプションが今は普通のメニューになっている

――仁藤さん自身も、元は渋谷ギャルで、メイドカフェで働いたこともあるとのことでしたが、当時のメイドカフェはどのような所でしたか?

仁藤夢乃さん(以下、仁藤)
:私が働いていたのは2005年頃で、ちょうどメイドカフェが生まれた頃です。今でこそ、メイドカフェは“萌え文化”とか、“オタク文化”とか言われて安全なお店もできましたが、当時は居場所のいないワケありのギャルが街でスカウトされ、集められた所でした。メイドのコスチュームだけ着て、裏でタバコを吸っていることもありましたね。そして、店長は児童買春の斡旋をしている人でした。

メイドカフェで働いたのは高校1年生のときで、1年もやっていないのですが、「15歳からでも働けるよ」と言われて働き始めました。他のバイトだと、求人に「16歳以上」と書かれているので、当時15歳だった私は「ここなら自分でも働ける」と思いました。今私が関わっているJK産業で働いている子と変わらない発想ですよね。

当時のメイドカフェでは、現在の「JKお散歩」にあたることが、「店外デート」と言われ、それ自体が「裏オプション」として行われていました。当時は裏オプションだったことを、今は裏でなく普通なこととして危険と思わずにやっていることにびっくりしました。

その後、テレビでメイドカフェが取り上げられるようになると、普通の子が働き始め、それまで生活のために働いていたワケありの子達のシフトが減らされて生活ができなくなり、店長から18歳未満が働いてはいけない風俗店や違法な店へ斡旋される……という形でした。

――女子高生サポートセンターColaboでは、どのような活動を行っているのですか?

仁藤:夜の新宿や秋葉原などを歩いて、帰る場所がなくて街で一夜を過ごしている女の子たちへ声かけ運動のアウトリーチを行っています。「帰るところある? おなかすいてない?」とか声をかけ、「困ったことがあったらここに連絡してね」と連絡先を交換し、支援活動につなげていきます。彼女たちは、今ある福祉や支援の窓口にはつながれません。そういうところには自分から足を向けられないですし、受付時間が10時~17時というようなところが多く、彼女たちの生活やニーズに合っていない。だから、こっちから声をかけてあげるんです。また、高校生やPTAに向けた講演会も行っています。

一度JK産業に足を踏み入れるとなかなか抜け出せない

――夜の街の巡回で女子高生に声をかけたとき、どのような反応をされますか?

仁藤:びっくりされますね、女性だから。普段、おじさんたちやスカウトマンの男性にしか声をかけられていないので。「女の人としゃべったの、3週間ぶり」と言われたこともあります。私は、声をかけた子の顔を忘れないように一緒に写メを撮るのですが、すぐにその子のLINEのプロフィール写真が私とのツーショット画像に変更されていたり、「夢乃さん、お姉ちゃんみたい。声をかけてくれてありがとう」「気付いてくれてありがとう」と言われたりと、うれしいんですが切ないです。私が声をかけることが、そんなに喜ぶようなことなのかと……。

――女子高生たちは孤独を感じているのですね。もし、自分の知り合いの女子高生がJK産業に足を踏み入れていた場合、どのような対応をするべきでしょうか。

仁藤:女子高生たちは、JK産業の世界で信頼している大人がいるので、私はその大人と綱引きをしているようなイメージです。嘘を教える店長と、「危ないよ」と諭す私とで。

「そんな仕事は危険だよ」ということを伝えながら関係性をつないでいって、何かあったら相談できるような関係であることが大事だと思うんです。一度この世界に入ったらなかなか抜け出せない。辞めたとしても、JK産業の大人たちは「最近どうしてる? 女の子が足りないから、また仕事しない?」と連絡をしてくるんです。普通のバイトだとそんなことってないですよね。「辞めたい」と思っても相談できる人がいない、辞めたいけど店長やお客さんから「辞めないで」と言われる。彼女たちは「自分が必要とされている」と思うと、また戻ってしまうんです。やめたくても、店から「親や学校に言うぞ」と脅されて辞められないという相談もよくあります。

困っている女の子に気付ける大人が増えてほしい

――著書「『女子高生の裏社会「関係性の貧困」に生きる少女たち』(光文社新書)はどんな人に読んでもらいたいですか?

仁藤:自分には関係ないと思っている人や、子どもと関わる人には読んでもらいたいですね。女の子が自分で選んでJKビジネスで働いていると思われがちだけど、大人が子どもを集めて、商品化して、大人が買っているんです。街では、「この子はカラオケにも連れ出せますよ」「腕組みくらいならできます」と店の男性スタッフが女子高生を道行く男性に差し出し、勧めていることもあります。

女性であれば誰でも、10代や20代前半の頃は、街でスカウトやナンパなどに声をかけられたことがあると思います。でも、20代後半になるとなかなか声をかけられなくなる。そうなると、危ない仕事に誘ってくる大人がいるということを忘れちゃうんです。だから、自分が若い頃のことを思い出してほしいです。自分は声をかけられなくなったから、安全になったような気になっていますが、今でも狙われている子がたくさんいます。

子どもたちを取り巻く危険を伝え、困っている子どもに気付ける大人を増やすため、「夜の街歩きスタディツアー」というものを行っています。街にはたくさんスカウトがいるじゃないですか。女の子たちには、見知らぬ男性に声をかけられたり、仕事を紹介されることは身近な日常ですが、大人は全く気付いていないんですよね。

――今後、女子高生を取り巻く状況がどうなっていくことを望みますか?

仁藤:困っている女の子に気付ける大人が増えてほしいです。ぽつんと立っていたり、お金がなくて困っていたり、困っていなくても声をかけるのが必要なんですよね。今、困っている子や相談したいと思っている子に声をかけるのは、買春を持ちかける男性か、JKビジネスを操る悪い大人ばかりです。「帰るところがないなら、泊めてあげるよ」と言ったり、相談に乗って信頼させる。

本当は、子どもたちに「困っていない? 帰るところはある?」と、子どもを守りたい・支えたいと思っている大人たちが声をかけていくべきだと思います。それを言うのが今、悪い男性だけなんですよね。今、街やネットで声をかけられた子どもが安全な大人に出会える確率は、限りなくゼロに近い。困っている子どもに気付き、声をかけられる大人が増えてほしいです。

姫野ケイ

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