LAの女性ホームレスが作る可愛い雑貨屋

アメリカ西海岸の大都市ロサンジェルス。ハリウッドやビバリーヒルズといったきらびやかなエリアの対極にあるのが、ダウンタウンにあるスキッド・ロウという地区だ。

ダウンタウン中心部からすぐの場所だが、貧困層やドラッグ中毒者が集まる一帯のため、ガイドブックには必ずといっていいほど「治安が悪く危険だから、行ってはいけないエリア」として紹介されている。そんなスキッド・ロウの一角に、この場所にしてはびっくりするほど可愛いカフェ&ショップが存在するという。

“カワイイ”グッズが揃うおしゃれなショップ

LAの女性ホームレスが作る可愛い雑貨屋

地元のフリーペーパーに掲載されていた、オリジナルソープのパッケージが目を引いたので訪れてみると、窓から外光が注ぐ明るい店内には、ハンドメイドの雑貨やアクセサリーがレトロな黒電話やドライフラワーなどと一緒におしゃれにディスプレイされている。

店のロゴをあしらったシンプルなデザインのラベンダー&ハニーソープ(10ドル)、缶入りソイキャンドル(20ドル)などはLA土産にぴったり。また、ヴィンテージカップをアップサイクルしたキャンドル(22ドル〜)は、一つ一つ絵柄が異なり、いくつも欲しくなってしまうキュートさ。

ほかにも、フェルトのオーナメントや古紙を束ねたノートなど、店頭にはたくさんの“カワイイ”が並ぶ。

実は驚くべきことに、この店は路上生活者や低所得者層の女性たちを支援するNPOダウンタウン・ウィメンズ・センター(DWC)直営のカフェ&ショップなのだ。

5万8,000人のホームレスが住む“スキッド・ロウ”

ロサンジェルス郡には5万8,000人ものホームレスが暮らしており(ちなみに日本全国のホームレスは平成26年現在7,500人:東京都福祉保険局発表)、うち4分の1が成人女性だ。なかには4〜5年も路上生活を余儀なくされている人がいるといわれ、その多くがスキッド・ロウに集まっている(DWC 2014 fact sheet)。

1978年に設立されたDWCは、ボランティアスタッフと寄付金によって運営され、ホームレス女性たちへ一時的な住まい、あたたかい食事とシャワー、医療などを提供するほか、職業訓練を通じて自立を促す活動をしている。2013年には年間4,000人もの女性が、センターの支援によって路上生活の悪循環から脱したという。

オリジナルグッズ製作が職業訓練になる

このDWCの取り組みの一つで、女子ゴコロをくすぐる“カワイイ”内容によって注目を集めているプロジェクトが、「MADE by DWC」なのだ。

スキッド・ロウのホームレス女性たちがDWCオリジナルグッズや焼き菓子を製作し、直営のカフェ&ショップで販売するというもの。彼女たちは製作対価として収入が得られるほか、カフェ&ショップでの職業訓練も受けることができる。店での売り上げは全額DWCの運営資金に充てられ、更なる支援に活用されるというハッピーな仕組みだ。

LAの女性ホームレスが作る可愛い雑貨屋

MADE by DWCのロゴがプリントされたエコバッグも、思わず手が伸びるセンスの良さ。商品の製作過程で、「計量」「アロマテラピー」「裁縫」「デザイン」などが学べるという仕組みにも感心させられる。

明るい時間に車で訪れる分には心配ない

店を訪ねた朝9時過ぎ、奥のカフェカウンターには、タンブラー持参でコーヒーを買いに来る人の姿があった。ガラスケース内に並ぶこんがり焼けたマフィンも美味しそう。ショップのロケーションはスキッド・ロウの西端にあたるが、明るい時間に車で訪れる分には心配ないとLA在住者はいう。

チャリティーとファッションを結びつけるのが巧みな、アメリカらしいこの取り組み。エシカルな消費に興味がある人はぜひ、チェックしてみてほしい。

倉永明美

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